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ながやす巧作品集 の商品レビュー

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2009/10/04

初期作「その人は昔」から近作「鉄道員(ぽっぽや)」まで、45年の集大成……というには4作しかないので(この2作がそれぞれ単行本1冊クラスの分量あるからなー)少々さびしいが、作者の変遷がかいま見られて興味深い内容なのは確か。 なにより本書で魅力なのは、実はみなもと太郎先生の解説。背...

初期作「その人は昔」から近作「鉄道員(ぽっぽや)」まで、45年の集大成……というには4作しかないので(この2作がそれぞれ単行本1冊クラスの分量あるからなー)少々さびしいが、作者の変遷がかいま見られて興味深い内容なのは確か。 なにより本書で魅力なのは、実はみなもと太郎先生の解説。背景になる当時のマンガ業界事情をわかりやすく説明しつつ、作者本人とのインタビュー(?)も交えておどろきの創作法まで迫る内容はまさに解説のお手本という感じで、5ページとは思えない濃い内容。 『幽婚』は古典的な怪談話で、作者としては実験的な題材じゃないかしらん? 写実的な作風は導入部では魅力的・機能的だけど、後半で怪異を直接的に描写するとかえってどこかウソっぽく感じられてしまう。この時の経験が『鉄道員』で活きている気がするのだけど、これはさすがに僕だけの勝手な印象じゃろうか。 『鉄道員』は文句なしの名作だが、せっかくの浅田次郎をして敬服させた「あの」巻頭カラーを白黒で収録してしまうとはデリカシーがない。 個人的にはこの直前に描かれた同じく浅田次郎原作の『ラブ・レター』の方が傑作と思っているので、これを載せていないところも少々不満。これならカラーページのある『鉄道員/ラブ・レター』の単行本を買った方がいいよ! 『チャンピオン』『その人は昔』はどちらも時代性が強く感じられる内容。ひとことで言えば良くも悪くも古くさい、というところだが、その時代時代で徹底して通俗的(いい意味)な内容を追っていることが分かって興味深くもある。

Posted byブクログ