ツィス 改訂新版 の商品レビュー
今だからこそぜひ読んでおくべき本。 昔読んだことがあったけど思うところがあって再読。 ある地方都市に起きた謎のツィス音。 ごく一部の人にだけ聞こえたこの音が段々と広がっていき多くの人がツィス音に悩まされるようになっていく。 これ、今世の中に起きていることに置き換えて読むと...
今だからこそぜひ読んでおくべき本。 昔読んだことがあったけど思うところがあって再読。 ある地方都市に起きた謎のツィス音。 ごく一部の人にだけ聞こえたこの音が段々と広がっていき多くの人がツィス音に悩まされるようになっていく。 これ、今世の中に起きていることに置き換えて読むと鳥肌が立つようなストーリです。 あんまり内容を話すとネタバレになるのでとにかく読んでみて欲しい。 どう受け取るかは人によって違うとは思うけど絶対今読むべき本の一つだと思います。
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SFとしてはなぜか解説している司馬遼せんせのおっしゃるように 奇妙な味わいある作品だが ミステリとして書かれている構成と描写に違和感ありまくりな 気持ち悪い作品 神奈川県民の扱いが適当過ぎでは 耳が聞こえなくても自分の口笛が聴こえないということはない
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年齢とともに可聴域が狭まるために聞こえづらい「モスキート音」というものがあるのを何年か前に知りましたが、それよりもずっと前にこのような作品が書かれていたことに驚き、SF作家の想像力にまたもやうっとりするわけでした。
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「死ね、死ね」という声が聞こえるという精神病患者が、神奈川県C市の病院に入っていくところから説き起こし、視点を精神科医・秋葉に移していくあたり、非常に映画的というか、見事な導入。そして象徴的でもある。聞こえるとか聞こえないとかがテーマの小説なのだから。 秋葉のかつての患者の...
「死ね、死ね」という声が聞こえるという精神病患者が、神奈川県C市の病院に入っていくところから説き起こし、視点を精神科医・秋葉に移していくあたり、非常に映画的というか、見事な導入。そして象徴的でもある。聞こえるとか聞こえないとかがテーマの小説なのだから。 秋葉のかつての患者の娘がツィス、嬰ハ音あるいは♯ドの音が小さく持続的に聞こえていると彼に相談し、さあ話はもう止まらない。音に敏感そうな精神病の入院患者に訊くと彼らも聞こえるというので、音響学の専門家・日比野教授に相談。ツィス音測定器が製作され、C市での測定が始まる。話を聞きつけてやってくる新聞社。小さな記事。調査に動く市役所。テレビの取材。そして徐々に大きくなって首都圏を巻き込んでいくツィス音。 『ツィス』が発表されたのは1971年。『ゴジラ対ヘドラ』公開の年、社会的に公害がクローズアップされていた。『ツィス』で猛威を振るうのはヘドロでも怪獣でもなく、音である。ミュージシャンでもあった広瀬正ならではというべきか、主役はある意味でツィス音なのである。中盤では、“耳が不自由”とか“聴力を失った”という遠回しな表現が大嫌いな、つんぼの絵描き・榊が主人公格になるのだが、ツィス音の増大で都民は耳栓なく生活できなくなり、にわかつんぼの中で榊は健常者になってしまう。聞こえるとか聞こえないとかどうでもよくなってしまうのだ。「パニック小説」と謳われているが、実はツィス音によってパニックは生じず、人々は耳栓をして整然と行動する。しかしながら、「パニック小説」のフォーマットを用いていることも確か。他方、ツィス音の猛威の中、そんな音は聞こえないと言い張るおかしな人たちもおり、やはり話は聞こえるとか聞こえないとかいう点を巡る。 ツィス音がどのような顛末をたどるかはネタバレに属するので伏せるが、純音公害という一つのアイディアをもとに論理的にストーリーを組み立てていくいかにもSFらしい小説ながら、人物描写に下町人情話的な肌合いが残るのがまたいい。この本もまたほとんど一気に読んでしまった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
東京近郊で聴こえだした謎の音、ツィス。次第に音は大きくなり、首都圏での平穏な日常は脅かされていく。 パニック小説だけど、「マイナスゼロ」「エロス」と同じように日常がリアルに描かれているので、ハラハラするというよりは淡々と、でもユーモアを織り交ぜながら話は展開する。 エンディングには唸らされます。さすが。 この三部作、手元に置いておきたい。 解説が司馬遼太郎というのも嬉しい。おもしろかった!
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ツィス音が常にどこからか聞こえる…一人の女性がそう訴えたのをはじめに、ツィス音は聞こえる範囲・音量を増していく。 政府は公害として認識し、警戒区域は徐々に拡大。 街はパニックに陥る。 広瀬正の本は、何を選んでも大当たり。 表題と中身が連想できないのが唯一の難点ですが、それは帯を...
ツィス音が常にどこからか聞こえる…一人の女性がそう訴えたのをはじめに、ツィス音は聞こえる範囲・音量を増していく。 政府は公害として認識し、警戒区域は徐々に拡大。 街はパニックに陥る。 広瀬正の本は、何を選んでも大当たり。 表題と中身が連想できないのが唯一の難点ですが、それは帯を見ればオーケー。 数年前に文庫本化されたときについておりまする。 それかAmazon等であらすじをチェックするか。
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耳鳴りのような音がずっと聞こえる、だんだん音が大きくなってみんなに聞こえて… 最終的にはちょっと疑問を持たせる終わり方。映画みたい。
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東京近郊の海辺の町で発生した謎の騒音公害。ツィス音=二点嬰ハ音が絶え間なく、至るところで聴こえるというのだ。この不快な音は徐々に拡大してゆき、やがて……。 謎の騒音が人間や社会に及ぼす影響が事細かに描写されるパニック小説の傑作。豊富な情報と緻密なディティールを基にした精緻なシミュ...
東京近郊の海辺の町で発生した謎の騒音公害。ツィス音=二点嬰ハ音が絶え間なく、至るところで聴こえるというのだ。この不快な音は徐々に拡大してゆき、やがて……。 謎の騒音が人間や社会に及ぼす影響が事細かに描写されるパニック小説の傑作。豊富な情報と緻密なディティールを基にした精緻なシミュレーションに圧倒される。ラストの一捻りが示す社会批判も素晴らしい。
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集団パニック物。とはいってもハリウッド映画のようなスペクタクルな展開はない。現実の日本にこんなことが起きたらこんな風に淡々と事が運ぶんだろうなと、3・11以降のネットを見て感じた。映像化するとしたらモチーフを「音」から「におい」に変えるといいと思う。
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ラストがやはり秀逸。 ツィス音のレベル1が、「一部の非常に耳のいい人だけに聞こえる。」 としているのに、表現の妙があるなと思った。 「目に見えないもの」への集団心理なんて、30年経ってもあまり変わって ないように感じる。情報の取捨選択をしっかりできるようになりたい。
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