わたしの娘を一〇〇ウォンで売ります の商品レビュー
一時は「金正日の詩人」と呼ばれるほどに栄華を誇った脱北詩人による詩集。実際に北朝鮮で暮らしていた詩人の叫びは、どんな北朝鮮関係の論文より心を打ち、また北朝鮮の「真実」を描き出しているかもしれない。 帯にも掲載されている、一篇の詩を掲載しておきたい。 その女は 憔悴していた ...
一時は「金正日の詩人」と呼ばれるほどに栄華を誇った脱北詩人による詩集。実際に北朝鮮で暮らしていた詩人の叫びは、どんな北朝鮮関係の論文より心を打ち、また北朝鮮の「真実」を描き出しているかもしれない。 帯にも掲載されている、一篇の詩を掲載しておきたい。 その女は 憔悴していた ――わたしの 娘を 100ウォンで 売ります 書かれた 紙を 首に かけ おさな児を わきに立たせて 市場に 立っていた その女は 女は 唖者であった 売られる 娘と 売る 母性を ながめては 人々の 投げかける 呪詛にも 地べたを みつめるばかりの その女は 女は 涙も 枯れていた 母が 死病に かかって いると わめき 泣き叫ぶ 娘が 母のチマに すがっても 女は ただ くちびるを 震わせるばかり 女は 感謝することも 知らなかった あんたの 娘ではなく 母性愛を 買うと ひとりの 軍人が 100ウォン 手渡すと その金を もって どこへやら 駆け出した その女は 女は 母であった 娘を売った 100ウォンで 小麦粉パンを かかえ 慌てて 駆け戻り 別離れ行く 娘の 口へ 押し込み ――赦しておくれ! 慟哭した その女は
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詩集としてでなく、ルポで読んでほしいという著者のことば。北朝鮮ってマジでこんななの?!と衝撃だった。誰も実情をリアルに知らないという特異な国。ほんとにお隣の国がこんな内情だなんて、信じられない。読んでて涙が。「子どもたちはおなかが減ったということもはばかる」だなんて日本ではありえ...
詩集としてでなく、ルポで読んでほしいという著者のことば。北朝鮮ってマジでこんななの?!と衝撃だった。誰も実情をリアルに知らないという特異な国。ほんとにお隣の国がこんな内情だなんて、信じられない。読んでて涙が。「子どもたちはおなかが減ったということもはばかる」だなんて日本ではありえない。300万人の餓死者を並べると、日本を縦断できるそうです。いったいいつの時代なの?と思うけど、現在進行形だなんて。救済米なんかより、ひとおもいに殺して、という叫びははかりしれない苦しみです。すさまじい。知らないことは罪だ。
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'90年代後半、300万人が死んだという北朝鮮の飢餓・貧困の様子を詠った詩集。詩集というと現実味がないように聞こえるかもしれませんが、市民感情がストレートに綴られていて政治解説なんかでは感じられないノンフィクションのリアルがそこにあります。通常、身元痕跡を消すため何も...
'90年代後半、300万人が死んだという北朝鮮の飢餓・貧困の様子を詠った詩集。詩集というと現実味がないように聞こえるかもしれませんが、市民感情がストレートに綴られていて政治解説なんかでは感じられないノンフィクションのリアルがそこにあります。通常、身元痕跡を消すため何も持たずに脱北するらしいですが、著者はリスク覚悟で原文メモを韓国へ持ち出したそうです。それだけでも本書の重みが分かるでしょう。 http://opus77.net/blog/2011/07/10-1041.html
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1995年から1998年の間に、お隣りの北朝鮮では 300万人の人民が餓死していた。 1つとうもろこしがあったら、 1日1粒ずつ食べられると言い、 お米はないから木の皮をどろどろに煮て食べると言い、 食品は軍隊に、人民には「代用食品」で 泥炭が与えられると言う。 ...
1995年から1998年の間に、お隣りの北朝鮮では 300万人の人民が餓死していた。 1つとうもろこしがあったら、 1日1粒ずつ食べられると言い、 お米はないから木の皮をどろどろに煮て食べると言い、 食品は軍隊に、人民には「代用食品」で 泥炭が与えられると言う。 自分が想像できない貧困で300万人が死んでいた。 ボランティアによる援助は軍隊のところにいき、 飢えている人たちに届かない現実。 同じ時代にこういう人たちがいるって 読まないとわからないから、 (わたしもここまでのことは知らなかった) ひとりでも多くの人に読んでほしい。
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詩の構成がどうとかではなく、ただこのおぞましい北朝鮮政権の苦行の行進の現実を記し、私たちに伝えてくれたこと、ただそれだけで、感謝の意を込めて評価星5つ作者に献上したい。 北に家族を残した脱北者である彼にしか書けない詩だろう。 詩だからといって、決して「詠ま」ないでほしいと言う前書...
詩の構成がどうとかではなく、ただこのおぞましい北朝鮮政権の苦行の行進の現実を記し、私たちに伝えてくれたこと、ただそれだけで、感謝の意を込めて評価星5つ作者に献上したい。 北に家族を残した脱北者である彼にしか書けない詩だろう。 詩だからといって、決して「詠ま」ないでほしいと言う前書きが印象的だった。
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