愛犬ビンゴ の商品レビュー
この本で収録されている一番好きな話はやはり「銀ギツネ」の話。誕生から独立、家族を持って幸せに過ごしていた所に現れる猟犬という厄災。物語の展開はもちろんのこと、あまり知らなかったキツネの生態についても詳細に書いてあるので、色々な驚きがあり楽しめました。 (少し前に「キツネの鳴き声が...
この本で収録されている一番好きな話はやはり「銀ギツネ」の話。誕生から独立、家族を持って幸せに過ごしていた所に現れる猟犬という厄災。物語の展開はもちろんのこと、あまり知らなかったキツネの生態についても詳細に書いてあるので、色々な驚きがあり楽しめました。 (少し前に「キツネの鳴き声がわからない」といった歌詞の歌が流行ってたけど…シートンの本に鳴き声書いてあったw) 読後には心の芯が温まりつつ、爽やかな気分にもなれるような素敵な話でした。 個人的にシートン動物記とファーブル昆虫記は、いくつになって読んでもかつて幼少期に感じていたワクワクを鮮明に呼び起こしてくれます。 この本も、お気に入りになりそうです。
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子供の頃、シートンその人の伝記を読んだことはあったが、肝心の『動物記』は読んだことがなかった。この夏、集英社が文庫版(全3冊)を出版したので、購入してみた。今回読み終えた『愛犬ビンゴ』は、そのうちの1冊。 この本は三部構成で、「愛犬ビンゴ」、「銀ギツネの伝記」、「ウェイ・アッ...
子供の頃、シートンその人の伝記を読んだことはあったが、肝心の『動物記』は読んだことがなかった。この夏、集英社が文庫版(全3冊)を出版したので、購入してみた。今回読み終えた『愛犬ビンゴ』は、そのうちの1冊。 この本は三部構成で、「愛犬ビンゴ」、「銀ギツネの伝記」、「ウェイ・アッチャ ―キルダー川のアライグマ」からなる。まず「愛犬ビンゴ」は、シートンが20代の頃に飼っていた猟犬の物語。アメリカ版中犬ハチ公といったところである。次が「銀ギツネの伝記」。勇敢な銀ギツネ ドミノの物語である。「アライグマウェイウォッチャー」は、いたずら好きの愛らしいアライグマの物語。 最も面白かったのは、「銀ギツネの伝記」。銀ギツネドミノを主人公とした物語である。キツネというと、『ニルスの不思議な旅』に登場するレックスのような、ずる賢いキツネを想像してしまう。また、日本では、キツネは人を化かす動物として扱われている。見た目は愛らしいのに、とかく、キツネに悪いイメージがつきまとっている。 実際、キツネが賢い動物であることは、この「銀ギツネ」を読むとよくわかる。例えば、銀ギツネドミノは、人間の仕掛けた罠をことごとく見破り、さらにその近くにマーキングをして罠を仕掛けた人間を馬鹿にするような行動をとる。他にも、追跡者を撒くために足跡を消し、匂いを消すため川に入るなど、とにかく頭が良い。ズルイ動物というキツネのイメージは、こうした賢さから由来しているのであろう。 だが、少なくとも銀ギツネドミノは、およそズルイというイメージから程遠いキツネである。特にそう思わせるのは、物語最後の猟犬からの逃亡劇。目を血走らせヨダレを垂らしながらドミノを追いかける数十頭の猟犬、それから必死に逃れようとするドミノ。思わず悲鳴をあげそうになるほど手に汗握る場面である。ドミノが、妻を救うため自らが囮となり、たった1匹で数十頭の猟犬の追跡を引き受けるのだ。この場面から想像されるのは、愛情深く勇敢なキツネの姿であった。 キツネとアライグマなどは、動物園などでなじみの動物だが、その生態は知らないことばかり。特に、上のドミノのところで触れたが、夫婦関係や家族関係など、彼ら(キツネとアライグマ)の家族生活には、驚かされる話が多かった。また、生き生きとした描写は、読んでいて思わす微笑んでしまうほど。シートン自らが描いた動物たちの挿絵も、想像を助けてくれて嬉しかった。引き続き『シートン動物記狼王ロボ』を読むつもりである。
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