小川未明集 幽霊船 の商品レビュー
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後味引く気味悪さ。 最後の一文で『そして〇〇が死んだ』みたいなのが突然現れて『えっっ!!?』てなる。 そこに行き着くまでも、文章がザワザワする怖さを感じる。幽霊が出てきそうな、あの雰囲気の怖さ。
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これを読むと小川未明の恐ろしさがよくわかる。理不尽な不幸、幼い子供の死、呪文を唱える老婆、悪夢、幻想、妄想の湧き出る源泉である小川未明が怖い。なぜこのような作品を書き留めるに至ったのか、実に恐ろしい。
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怪談短編集。全体的に北国の寒く暗いイメージが漂います。じんわりとした恐怖感が味わえる一冊。 お気に入りはやはり「赤い蝋燭と人魚」。不朽の名作ですねえ。 あとは「過ぎた春の記憶」「僧」も怖かったなあ。なんともいえず嫌な雰囲気が読後もまとわりつくような印象でした。
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子供向けに書いたお話は物悲しい怖さがある。 そのほかの話は、神経質、発狂、孤独、黒い人などがテーマになっていて、陰気な暗さ、怖さがある。
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童話作家、児童文学作家として名高い小川未明の「怪談」小説を集めたアンソロジーです。人間味のある暖かみをを備えた他の作品とは一線を画した、暗く、重く、怖ろしい物語たちは、未明の新たな一面を強烈に提示してきます。 収録されているのは物語29編と、怪異小説に関連したエッセイ3編、そして...
童話作家、児童文学作家として名高い小川未明の「怪談」小説を集めたアンソロジーです。人間味のある暖かみをを備えた他の作品とは一線を画した、暗く、重く、怖ろしい物語たちは、未明の新たな一面を強烈に提示してきます。 収録されているのは物語29編と、怪異小説に関連したエッセイ3編、そして自身の体験した恐怖譚1編の計33編。多作な未明らしく、物語はとても多岐にわたり、北陸のさびしい田舎を舞台にしたノスタルジックなものから、萩原朔太郎の「猫町」を思わせるような短編、人間の精神の奥底に潜む恐怖を扱ったサイコホラー的なものまで、これまたバラエティに富んでいます。どれも、恐怖の正体が最後まで明かされなかったり、まったく不明なまま物語が終わってしまったりと、読者の恐怖心をじわじわと掻き立てる秀逸な文章です。 新潮文庫版の童話集を読んでも思いましたが、未明は本当に「夜」の描写がとても印象的です。童話集ではそれが「清澄さ」となって作品に輝くような美しさを与えていましたが、本書に収められた短編では、同じ舞台装置が「身を侵す闇」となって妖しい世界を作り出しています。また北陸特有の閉ざされた感覚を抱かせる天候や荒々しい海の描写などが、主人公の感情描写に強烈なインパクトを与えています。「赤い蝋燭と人魚」に登場する「もの凄い」海とは、これほどの怖さを孕んだものだったのか。改めて読むとその深遠な意味に戦慄すら覚えました。 子どもを主人公とした話では、古くは「神のうち」とも称されたか弱き生命の危うさを、郷愁とともに味わえます。村を訪れる放浪者の登場する話では、折口信夫いうところの「マレビト」の一側面である畏怖の形を見ることができます。それ以外にも、生命の直接的危険に晒される恐怖や、母親の元型に備わった負の側面が放つ怖さなど、さまざまテーマが複雑に折り重なっています。そして本書の最後に置かれた未明自身の体験談・・・。もはや語る必要もないでしょう。続きはぜひ実際に読んで確かめてください。 (2008年10月 読了」
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