人間の境界はどこにあるのだろう? の商品レビュー
人間と動物との違い、「人間らしい」との人間とは何を意味するのか、黒人は人間扱いされてこなかったなど、人間とは何かを生物学的、文化人類学的に歴史を紐解きながら述べた本。面白い記述もあるが、追求しようとしているところが狭く、研究の意義が今ひとつ理解できなかった。また、訳もわかりにくく...
人間と動物との違い、「人間らしい」との人間とは何を意味するのか、黒人は人間扱いされてこなかったなど、人間とは何かを生物学的、文化人類学的に歴史を紐解きながら述べた本。面白い記述もあるが、追求しようとしているところが狭く、研究の意義が今ひとつ理解できなかった。また、訳もわかりにくく、何度か読み返さなければ頭に入ってこない箇所が多々あった。興味深い内容を抜き出す。 「先住民たちが戦争を知らないということは、彼らが無垢である証拠ではあるのだが、それはまた、彼らがいとも征服されやすいということも意味していた。彼らが裸であることは、原始的な理想や、神に対する依存の理想を想起させもしたが、同時に、野蛮性や獣との類似も示していた。彼らが商売に疎いことは、道徳的に堕落していないことを示してもいれば、簡単にだませるということも示していた。」
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おもしろい 文化、見た目、心、魂、生活... さまざまな観点から「人間」を定義しようと試みた しかしどれも説明ができない 科学により忘れ去られた課題 科学の発達により、また求められてきた 人間とはなにか?これを考えるきっかけになる
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人間にのみ備わっているとされている、高度な知性、 文化、道具の使用、言葉、身体的特徴を基に遺伝学、 歴史学、人類学の観点から人間を定義しようと挑んでいる本。 人間だけが持つとされた能力は、実は他の生物も 少なからず持っており、それでは、人間を定義ことはできない。 では人間とは一...
人間にのみ備わっているとされている、高度な知性、 文化、道具の使用、言葉、身体的特徴を基に遺伝学、 歴史学、人類学の観点から人間を定義しようと挑んでいる本。 人間だけが持つとされた能力は、実は他の生物も 少なからず持っており、それでは、人間を定義ことはできない。 では人間とは一体何か?ますますわからなくなってくる。 人間を人間たらしめているものは何か?人間はどこまでが人間なのか? 答えが出るような問いではないような気もする。 生命は連続的であり、人間もその流れの中で誕生した生物なので、 そこに明確な境界線を引くのは難しと思う。 筆者自身、様々な観点で境界を引くことを試みるものの、 結局は境界を引くことは難しいと結論付けている。 まぁそうだろうなと思いながらも、今後新しい結論が出てくることを 期待してしまう。
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序章 「人間らしさ」の土俵 第1章 動物最前線 第2章 公式に人間 第3章 人間存在か、人間らしくあるか 第4章 進化的苦境 第5章 人間後の未来?
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タイトル通り、今日まで、どんなものが人間ではないと考えられて来たかが時系列に沿って書かれている。 視点は二つあって、身体的なものと、文化的なもの。 まずは、身体的な条件によって人間の規定がされてきたという。 ここは歴史そのもので、考え方の変遷が羅列されている。 羅列だから、焦...
タイトル通り、今日まで、どんなものが人間ではないと考えられて来たかが時系列に沿って書かれている。 視点は二つあって、身体的なものと、文化的なもの。 まずは、身体的な条件によって人間の規定がされてきたという。 ここは歴史そのもので、考え方の変遷が羅列されている。 羅列だから、焦点の変遷が早くて、少し読みにくい。 これが私個人の本音。 一方で、知らない事実は面白い。 例えば、西欧人と黒人の接触として、まずは「宗教的な理由から高貴な存在であることが前提とされていた」という事実は、想像すら出来なかった。 後で書かれているように、類人猿からの進化は連続的。 だから、身体的な特徴による人間の定義は、当然ながら限界がある。 そこでたどり着いたのが、文化に寄って規定する方法だった。 そんな感じで導入されて、文化による人間の定義の変遷とジレンマが、恐らくは本書の主題として羅列されている。 猿でも毛繕いはする。 そんなことは自分だってしっている。 それを文化や社会と呼ぶこともある。 それも知っている。 しかし、読み進める度に驚けたのは、そこで人の境界の確定が難しくなるという指摘。 どこからが、人間なのか? この画定は、明らかに恣意的なものである。 そして、個人的に一番考え方を塗り替えられたのは、次の二つの相互に関連する指摘である。 ①どんな文化を持っていたら人間、という恣意的な議論は、人種差別と同じ ②どんな文化で規定するにせよ、今まで人間だとされてきたのに非人間だと分類されてしまう人が出てくる。 後者は、例えば赤子や高齢者など。 つなげて考えたこともなかったし、連続させるとこうなるのか、と、凄くインパクトが大きかった。 最後は妊娠中絶など、社会的な話題についての議論。 中絶でいえば、文化で定義するとして、身動きの取れない胎児はどうなるか。 話の流れとしては凄く綺麗だと思う。 しかし、前部の話を引いているのがその導入だけなのが残念なところ。 批判を展開するにしても、同じ土壌であれば、より読みごたえもあっただろうに。 なんにせよ、いろいろ考えられる本でした。
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出版日付からしてもう少し現代的な話題(クローンやサイボーグ化など)を扱っているのかと思ったが、もう少し普遍的な話だった。人間性の定義は実際にはなかなか難しい作業で、類人猿が人間であれば、サルはどうか、最終的にはラッセルが言うようにカキにまで拡大されるのかなど、明確な一線を引くこと...
出版日付からしてもう少し現代的な話題(クローンやサイボーグ化など)を扱っているのかと思ったが、もう少し普遍的な話だった。人間性の定義は実際にはなかなか難しい作業で、類人猿が人間であれば、サルはどうか、最終的にはラッセルが言うようにカキにまで拡大されるのかなど、明確な一線を引くことは困難だ。著者自身の持つ西洋的なキリスト教的な世界観、奴隷制度への考え方などをバックボーンに、文化や遺伝子からの定義が難しいという現状が語られる。・言語がなく、毛づくろいのような物理的な接触を伴う方法でしか交流できない集団(サルとか)の場合、あまり大きな集団になってしまうと一日のほとんどが毛づくろいで終わってしまう。一対多のコミュニケーションができる言語を手にしたことでヒトは社会化することができた
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