韓非子 の商品レビュー
徳をもって法を司る── これが法家・韓非の基本的な考えであろうと思う。 しかし、韓非は秦で毒をすすめられ自殺に追いこまれている。つまり、殺されている。秦王(始皇帝)の臣・李斯による策略だったとされるが、むろん王も承知の上だった筈だ。 封建的な法治国家である秦が長続きしなかった...
徳をもって法を司る── これが法家・韓非の基本的な考えであろうと思う。 しかし、韓非は秦で毒をすすめられ自殺に追いこまれている。つまり、殺されている。秦王(始皇帝)の臣・李斯による策略だったとされるが、むろん王も承知の上だった筈だ。 封建的な法治国家である秦が長続きしなかったのは、王に徳がなかったからと言われているのはさておき、秦の制度は民主的な法治国家とは全く異なる法治であったことを、しっかり覚えておきたい。 追記:「信賞必罰」「虎に翼」などの出典は韓非子だそう。
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統治理論の名著。韓非子には、政治を実践する立場からの課題、解決策が書かれており、また現場のリアリティがふんだんに盛り込まれている。君主からすれば、先王の政、道徳による政治等の抽象的な儒家の説法より、富国強兵を真剣に考え、血なまぐさい政治現場を実際に見てきた韓の公子、韓非の法・術論...
統治理論の名著。韓非子には、政治を実践する立場からの課題、解決策が書かれており、また現場のリアリティがふんだんに盛り込まれている。君主からすれば、先王の政、道徳による政治等の抽象的な儒家の説法より、富国強兵を真剣に考え、血なまぐさい政治現場を実際に見てきた韓の公子、韓非の法・術論を知りたかったのだ。だからこそ始皇帝の評価も高かったのだろう。しかし、法治では統治の正統性を担保できないのが欠点だ。この点では、韓非が馬鹿にした儒教の方が圧倒的に優れていたことに留意したい。秦が滅びた一因もまた韓非子にある。
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荀子の流れを汲み法術家 今は、罪や罰の方が多くが語られるが行いには行いの報酬を与えるべきだと 現代の法でおさめる法治国家の礎に日本にも影響を残しています 古代中国思想に一番の影響を受けているのは日本だと思います
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これまで、 『老子』『孫子』『論語』『荘子』と読んできて、5冊目の中国思想本。 ・法治国家と守らせる側のモラル 前提として、この人は人間を、「利害で生きるもの」としている。 つまり、 利益があればそれをやるし、 害があると思えばやらない、というのが人間だというこ...
これまで、 『老子』『孫子』『論語』『荘子』と読んできて、5冊目の中国思想本。 ・法治国家と守らせる側のモラル 前提として、この人は人間を、「利害で生きるもの」としている。 つまり、 利益があればそれをやるし、 害があると思えばやらない、というのが人間だということ。 だから、 「いいことをした人にはご褒美をあげる」 「悪いことをした人にはバツを与える」 というきまりごと(法)をしっかり整備すれば国家は治まるとしている(法治国家)。 それと同時に、守らせる側の責任を説いている。 例えば、 規定の手続きを踏まずにやってきた王子の馬車を通さなかった門番を王子が罰せよと父(王)に求めるが、王は罰するどころかその門番を褒めている。 法で国家を治めていく以上、何人たりとも法にそむくことは許されないということだ。 ・公の利害と個人的利害は相容れない。 これに関係するエピソードがどれもなかなか面白い。 1つエピソードを上げる。 ある役人は、重要ポストへの人材登用について相談されて、自分のライバルの息子を挙げた。そして、別のポストについては、自分の息子を推挙した。 全ては才能に応じ、仇敵だろうが避けず、身内だろうと遠慮はしない。私的な怨恨などは公のことにあたる場合には考えてはいけないということ。 省みると、今の日本では私怨の下に人が積極的に集まる。それで損していることも多々あるだろう。自戒を込めて。 ・アドバイスは難しい。 営業にもかかわってくる話。 相手が何を求めているのか。 「これがほしい」と言っている相手に対しては該当するものを挙げればよろしいかもしれないが、それでもうまくいかない時もある。「何がほしいの?」と問うても明確な答えが得られない場合はなおさら。 「これがほしい」という言葉を表のニーズとする。こういう相手には「これ」を挙げればいいのだが、必ずしも受け手にとってしっくりこない事態が出てくる。 なぜだろう。 (少し韓非子からは離れるが・・・) それは「"裏"ニーズ」に沿ってないから。 相手が何か欲しがる以上、それには事情がある。それをさりげなく聞いていくことによって、「それを得て何がしたいのか」という情報を得られるこれが真のニーズ。裏ニーズだ。 それさえ得られれば、規模・質ともに一番適したものを相手に与えることができる。 話を戻すが、 韓非子が言うには、アドバイスする時には、相手の表面的な要求だけでなくて、それに隠された相手の思い(裏ニーズ)を汲んでやれ、ということだそうだ。 当時のことを考えると、相手が君主だろうから、変な詮索すると文字通り首が飛ぶことになりかねないが、今の世であればそこまでのことはない・・・だろうから、遠慮せず相手の本当の思いを聞いてみてもいいのかもしれない。 とはいえ実際にやるのは簡単じゃない(相手の警戒心解かないと聞けないし)。裏ニーズを察することができる人って本当、営業マスターなのかも。 他にも、人材登用の時の注意点、部下に対する評価の仕方、「亡国の49カ条」など、興味深いことがたくさん書かれている、面白い本だった。 最後に、「亡国の49カ条」の中から3つ取り上げたい。FBにはもう書きましたが。この49カ条に書かれていることが起きたら、国が滅びる前兆なのだそう。 ・部下の権威が上司よりも大きくなる ・リーダーが、独善的で協調性がなく、諫言されればむきになる。自信満々だが国のことなんか考えてない。 ・リーダーが、臆病で信念が貫けない。 この本が書かれてから約2300年。 悪い意味で国の本質は変わってないのかもしれない。
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・君主を説得する難しさは、相手の心を読み取った上で、こちらの意見をそれに適応させること、この1点につきるのである。 ・昔の聖人である堯・舜・湯・武のとった方法を、現在の世の中でそのまま手本にするものが、新しい時代の新しい聖人に笑われることも、またたしかである。聖人とは昔にとらわ...
・君主を説得する難しさは、相手の心を読み取った上で、こちらの意見をそれに適応させること、この1点につきるのである。 ・昔の聖人である堯・舜・湯・武のとった方法を、現在の世の中でそのまま手本にするものが、新しい時代の新しい聖人に笑われることも、またたしかである。聖人とは昔にとらわれ一定不変の基準に固執する者ではない。聖人とは、現在を問題とし、その解決をはかる者をいうのである。 ・「仁義」を行うものに名誉をあたえてはいけない。これに名誉を与えれば功績の妨げとなる。また、学問があるというだけで登用してはいけない。登用すれば方が乱れる。 ・修正ができるように気を配って行えば、あまり失敗はしない。 ・たびたび面接をしながら、しばらく登用しなければ奸臣たちはさっさと退散する。臣下に対しては、思わぬことを訪ねてみると、相手はごまかすことが出来なくなる。
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