拝啓 藤沢周平様 の商品レビュー
藤沢作品は「三屋清左衛門残日録」しか読んでいない。この対談集は藤沢氏と同郷で教師を勤めた後業界紙記者を経験して文筆業に入るという同じ経験を持つ佐高氏と、時代小説としての藤沢作品に造詣の深い江戸学者の田中氏。 本当にお二人は熱く藤沢氏および作品について語り合う。田中氏は大志を抱かな...
藤沢作品は「三屋清左衛門残日録」しか読んでいない。この対談集は藤沢氏と同郷で教師を勤めた後業界紙記者を経験して文筆業に入るという同じ経験を持つ佐高氏と、時代小説としての藤沢作品に造詣の深い江戸学者の田中氏。 本当にお二人は熱く藤沢氏および作品について語り合う。田中氏は大志を抱かない、つきすぎず、離れすぎずの主人公や藤沢氏の生き方に深く共感し、この時代においても生き生きとした品格のある生き方が手本になるとする。 江戸時代の人々は「幸せ」を願うのではなく「仕合せ」がくることについて、もっと偶発的な自然体で接していたという。 私は藤沢作品はひとつだけ、司馬遼太郎作品は1冊も読んだことがない。なぜなら立身出世の右肩あがりの生き方ものは好きでない。藤沢作品が今、サラリーマンなどに受ける理由は経済や効率優先ではない、進歩、発展への希望もなかなか難しい時代の気分にあっているということらしい。
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