マインド・タイム の商品レビュー
数年間も積読してた、こちらの本。正直、難しかった。脳が認知するまでに0.5秒の遅延がある、ということはわかったけど、それ以外は雰囲気で読んだ。
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これまで思弁的な形でしか議論されることがなかった「自由意思」の問題に実証的なアプローチを用いてチャレンジ。しかも使う道具はfMRIとかSPECTとか最新鋭の機器ではなく,脳波とヴント時計! 結果としては,活動の準備電位→「動こう」とする意志→実際の活動,とのこと。人間の自由意思...
これまで思弁的な形でしか議論されることがなかった「自由意思」の問題に実証的なアプローチを用いてチャレンジ。しかも使う道具はfMRIとかSPECTとか最新鋭の機器ではなく,脳波とヴント時計! 結果としては,活動の準備電位→「動こう」とする意志→実際の活動,とのこと。人間の自由意思は幻想か,と思いきや,活動を抑制するのは意識の力で可能であるという。 後半の意識を伴う精神場理論とか,著者とデカルトの仮想対話とか,その辺になるとわけがわからなくなる(誰かわかりやすく教えて,頭のいい人!)。
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「感覚が脳で「知覚」されるのに時間がかかる」のに 「その遅れを遡り、補うメカニズムを脳が備えている」 「自由で自発的な意志決定といえども、それに先立つ 脳神経活動がある」(訳者あとがきより) 人が意識して行動を起こすその0.5秒前にすでに 無意識下でその行動を起こすべく活動が...
「感覚が脳で「知覚」されるのに時間がかかる」のに 「その遅れを遡り、補うメカニズムを脳が備えている」 「自由で自発的な意志決定といえども、それに先立つ 脳神経活動がある」(訳者あとがきより) 人が意識して行動を起こすその0.5秒前にすでに 無意識下でその行動を起こすべく活動が始まっている という脳神経科学上歴史的な発見をしたリベット本人に よる実験とその結果報告という趣の本。 確かに行われた実験とその評価と結論の部分は誠実な 科学者らしい内容でとても面白く、また好意を持てる ものだった。 だが、ひとたび自由意志の問題となると著者自身の 信条や信仰、希望や願望が顕わになり、科学者の態度 ではなくなっているような気がしてならない。その 辺りは割り引いて読んだ方がよいかと。
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<目次> 1.本書の問題意識 2.意識を伴う感覚的なアウェアネスに生じる遅延 3.無意識的/意識的な精神機能 4.行為を促す意図―私たちに、自由意志はあるのか?― 5.意識を伴う精神の場理論―物質からどのようにして精神が沸き起こるのか― 6.結局、何が示されたのか?
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「意識」や「自由意思」についての議論に大きな影響を与えることになった有名なリベットの実験。その実験を実施したベンジャミン・リベットその人による解説書。 本書でも詳しく紹介されているリベットの大きな業績は次の二つだ。 1. 外部からの感覚入力が意識に上るまでには0.5秒の遅延が...
「意識」や「自由意思」についての議論に大きな影響を与えることになった有名なリベットの実験。その実験を実施したベンジャミン・リベットその人による解説書。 本書でも詳しく紹介されているリベットの大きな業績は次の二つだ。 1. 外部からの感覚入力が意識に上るまでには0.5秒の遅延が生じている。 2. 何かをしようと意識(意図)する以前に脳内でそのための活動が既に始まっている。 上の結論が、どのような実験によって導かれたのかは本書に詳しく書かれている。 どちらの知見も我々の通常の意識に対する直観とは相容れないものだが、その後に他の複数のグループによって行われた追試でも同様の結果が得られており、科学的にはほぼコンセンサスが得られているものである。 これらの知見は言わば、無意識が意識に先立つ主であり、意識が無意識の従であるとの主張である。無意識と言えば、フロイドなのだが、フロイドやその後に続く精神分析学における「無意識」は自分に取ってはひどく概念的で、説明のための仮想ツールのような印象をどこかで持っていたのだけれど、本書を読んで無意識の実在性と具体性を認識することができた。 なお1.について補足すると、さらに我々の主観は0.5秒経った後で知覚するにも関わらず、 過去に遡ってリアルタイムで感知したかのように解釈(錯覚)することまでやっている。 また2.の事実は、人間の自由意思の位置付けに対する重大な問題提起となっている。 リベットはこれに対して、行動は無意識のうちに始まるが、それを拒否することはできる、とすることで自由意志と責任についての問題を救おうとしている。この部分は、訳者もわざわざ注釈を入れているように、論理的な正当性が弱く、議論の余地があるところだ。著者の希望が色濃く反映されているようにも思える。例えば前野隆司氏なども『脳はなぜ「心」を作ったのか』で、拒否権などないとしている。 この本で取上げられているリベットの実験と知見自体は多くの書籍等で取り上げられているが、人間の意識活動について知的な興味を持つ人であれば、改めてこの本を読むことを勧める。 --- なお著者が一生懸命説明しているCMF(意識を伴う精神の場)理論は、物質である脳組織から意識が生まれる仕組みを説明する野心的な取組みのようなのだが、いまいち理解できなかった。いずれにせよ、この理論については市民権を得ていないようだ。 --- 翻訳は自身も専門家であり『サブリミナル・インパクト』など意識に関する著作も多数がる下條信輔さん。文体が丁寧なですます調でやや調子が狂うが、下條さんは自著でもですます調なので、そちらの方が作業的にしっくりくるのだろう。やや読みづらいのは翻訳者のせいではないのだろうなと思う。
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