初心者のための「文学」 の商品レビュー
そもそも「文学」とは何かがあいまいである。 なんとなく普遍的なテーマ(自分とは何か,大人になるということは何か,社会とは何か等)を内包した小説であるという印象。 それぞれの章で紹介している読み方は非常に面白かった。読んだことある小説も幾つかあり,「なるほどーそういう風に具体的な...
そもそも「文学」とは何かがあいまいである。 なんとなく普遍的なテーマ(自分とは何か,大人になるということは何か,社会とは何か等)を内包した小説であるという印象。 それぞれの章で紹介している読み方は非常に面白かった。読んだことある小説も幾つかあり,「なるほどーそういう風に具体的な描写から問題へ抽象化するのか」と唸らされた。 常に抽象的な意味を意識してしまうのも小説の読み方としては違う気もするし,とはいえ,事実や描写のみの理解で終わってしまうのも勿体無い気もする。 うまい小説というのは読んでいる時は夢中でストーリーや描写に没頭し,そこにある抽象的な意味は意識されないけど,後で振り返ったり物語の意味を考えたときに作者が用意したテーマ,抽象的な問題意識が読者に伝わってくるようなものなきがする。 この本を読むことで,小説を読む際に新たな視点(というか批評の分野ではお決まりの型なのかもしれない)を加えられるようになるとはいえると思う。
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三島とか太宰に対して自分で上手く言葉に出来なかったモヤモヤしてたものを、言葉にしてもらった感じ。その他にも、自分になかった視点が分かりやすく書かれていて、勉強になった。いつか子どもにも勧めたい1冊。
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小説をどうやって読み解くか、戦中から戦後にかけての「私」に関する視点を軸に読みつつ解説を行った本。著者自身が何を考え「サイコ」を書いたのかについても言及されている。 そんな事を書いた本があったのか、そんな読み方があるのかと、大きな驚きを味わえる。 http://tenro-i...
小説をどうやって読み解くか、戦中から戦後にかけての「私」に関する視点を軸に読みつつ解説を行った本。著者自身が何を考え「サイコ」を書いたのかについても言及されている。 そんな事を書いた本があったのか、そんな読み方があるのかと、大きな驚きを味わえる。 http://tenro-in.com/articles/team/22115 にて紹介されていた。
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文学の取扱説明書です。 “私”とは何か、文学の役目とは、文学が書かれた時代についてのあれこれです。
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「毒にも薬にもなる作品」、気を許すと呑み込まれてしまう作品というのは、なるほど確かにある。僕にとっては、サリンジャーの『ナイン・ストーリーズ』や安部公房の諸作なんかがそれだった(他にも色々あった気がするけど)。本書は、そうした文学を読むための、一つの指標なのだと僕は理解した。大塚...
「毒にも薬にもなる作品」、気を許すと呑み込まれてしまう作品というのは、なるほど確かにある。僕にとっては、サリンジャーの『ナイン・ストーリーズ』や安部公房の諸作なんかがそれだった(他にも色々あった気がするけど)。本書は、そうした文学を読むための、一つの指標なのだと僕は理解した。大塚の提示する読み方が、全面的に正しいわけでは当然ない。誤読もまた、小説の楽しみ方の一つのはずだから。むしろ、「人生の役に立つ文学」ばかりを礼賛しているのが、本書の最大の欠点。「毒にも薬にもならない作品」、おおいに結構だと思うが。
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タイトルは「初心者のための」とついているが、これは文学にかなり親しんだ読者が読むほうがよい。文学の魅力と功罪と目指すべきものが明確にされている。とりわけ三島と太宰における「私」の立ち上げ方とその誤解については、知的刺激が非常にそそられた。太宰の「女性徒」及び村上春樹の「海辺のカフ...
タイトルは「初心者のための」とついているが、これは文学にかなり親しんだ読者が読むほうがよい。文学の魅力と功罪と目指すべきものが明確にされている。とりわけ三島と太宰における「私」の立ち上げ方とその誤解については、知的刺激が非常にそそられた。太宰の「女性徒」及び村上春樹の「海辺のカフカ」はぜひ読み返してみたい。
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