たけくらべ の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
樋口一葉『たけくらべ』を初めて読む。 主人公の美登利は紀州生まれの娘で、姉が廓入りする際に家族揃って遊郭で住み込む。町の子供達の間では女王様のような美登利と龍華寺住職の子藤本信如との淡くせつない恋い物である。 美登利を取り巻く環境は横町の鳶頭の子長吉のグループと表町組の金貸しの子正太郎のグループが日ごろ喧嘩をし、美登利は幼なじみの正太郎の側にいた。 美登利と信如は同じ私立の寺子屋に通い、信如がケガした際に美登利からハンカチを渡されたことを周りから囃されて以来、美登利にはわざとつれなくする。一方の美登利は信如をあまり快く思わなくなる。 ある日、横町組と表町組の喧嘩があり、横町組の正太郎は同じ組町に住みながら正太郎と仲良くする参五郎を打ち叩く。美登利は長吉から恥辱を受け、長吉の側についたという信如への憤りも募る。 後日雨の日に信如は表町組の美登利の店の前を通りがかりに鼻緒が切れて困っていたところを見かねた美登利は店の内より紅の布きれを放るが、信如はそれを拾うことはなく長吉の下駄を借りてしまう。 数日、大鳥神社の三の酉の例祭の日に髪嶋田に結った美登利に正太郎は出会う。美登利は浮かぬ顔をし、正太郎を拒絶。その後も表組の仲間と会うこともなくなった。ちょうど同じ頃、信如も仏門の学校に入ることになった。ある朝、美登利の店の門前に水仙が置かれ、なぜか懐かしく感じられ、一輪の花さしに飾る。その日は信如が仏門の学校に入った日のことだった。 上記のように美登利と信如のすれ違う淡い恋はもの悲しさがある。さらに、美登利が髪嶋田に結う(一人前の女、遊女となる)の悲しみは「初潮説」や「水揚げ説」などあるらしいが、そういうものも含めて個人的には子供自分の思い出を断ち切ることからきているように想像して読んだ。そこには信如や幼なじみの正太郎など、まさに若い頃の青春がつまっていたのだろうか。 美登利の悲しみを明らかにすることは、かえって無粋のような気がしてならない。
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たけくらべ=背比べ 幼馴染が、幼い頃に背比べをしてから綴られる恋愛小説。 吉原遊郭が舞台で、一葉の文章によって、街中が活気づく躍動感だとか色合いが鮮やかに描かれてる。 文章の韻も経読みで楽しい
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