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明治のベースボール('92年版) の商品レビュー

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2019/01/17

このシリーズもリサイクル書店で見掛けると必ず購入する。 日本エッセイスト・クラブが厳選したエッセイ集なので、 どの作品も外れなし。 表題作である大谷泰照「明治のベースボール」は東京大学野球部の 連敗記録の話から、東大教養学部の前身・第一高等学校がアメリカ 人チームに圧...

このシリーズもリサイクル書店で見掛けると必ず購入する。 日本エッセイスト・クラブが厳選したエッセイ集なので、 どの作品も外れなし。 表題作である大谷泰照「明治のベースボール」は東京大学野球部の 連敗記録の話から、東大教養学部の前身・第一高等学校がアメリカ 人チームに圧勝した明治29年を振り返っている。 メチャクチャ強いんですけど~、一高。29対4の大差で買っている のだもの。「体格も技量も敵ではない」と舐めてかかったアメリカ 人チームはその後に雪辱戦を申し込んでいるのだが、これにも一高 が余裕の勝利なのである。 柴田大成「臭いものには蓋」では、洋式便器の蓋は実は蓋ではなく 椅子であることを知る。そこに座って靴や靴下を脱いだりするそう。 へぇ、なるほどね。と思って自宅の便器を見れば、座れるようには 出来ていなかった。 ほろりとしたのは小松紀子「紀子先生のお話」。女医として舅が 開業医をしている医院で診療を始める。女医さんが珍しかった 時代だ。「おなごの医者かぁ」と不満露わな患者、紀子先生は なかなか診察をさせてもらえない。 年月が経ち、舅も鬼籍に入った。医院のちかくのお年寄り亡くなった。 その葬儀の席で紀子先生はおばあちゃんたちの一団に囲まれる。 「紀子先生、偉いお医者にならんといてね、ずっとここに居てや。 私らが死ぬ時も診てほしいわい」 紀子先生、この言葉できっと辛かった日々が一気に吹っ飛んだので はないだろうか。 他にも味わい深いエッセイが全60編。どこから読んでも楽しめる と思う。

Posted byブクログ