南蛮から来た食文化 の商品レビュー
日本の食文化に大いに影響を与えたものの一つが南蛮だ。戦国時代、江戸時代とヨーロッパからはるばる船に揺られて日本にやってきた人たちがもたらした食べ物や飲み物。今でも食べられているものとして、「おやつは3時の文明堂」で有名なカステラ、コンペイトウなどがある。 著者が江戸時代の食べ...
日本の食文化に大いに影響を与えたものの一つが南蛮だ。戦国時代、江戸時代とヨーロッパからはるばる船に揺られて日本にやってきた人たちがもたらした食べ物や飲み物。今でも食べられているものとして、「おやつは3時の文明堂」で有名なカステラ、コンペイトウなどがある。 著者が江戸時代の食べ物に興味を持ったのは、江戸時代の大分の菓子値段帳を見てからと書いている。そこには、南蛮菓子が記録に残っていて、南蛮菓子の地元を訪ねてスペイン、ポルトガルを訪ねてさらに興味が広がったそうだ。 意外に思ったのは、江戸時代は肉を食べる習慣がないと思っていたのに食べる人たちがいたことだ。仏教の影響から、天武天皇が出した「殺生禁断」の詔勅を発せられ、牛・馬・犬・猿・鶏を食べることを禁止した。しかし、ブタタモリを見ていた時、猪を「山鯨」と言葉遊び、はっきり言えば言い訳をして獣肉を食べていた。あの水戸藩の徳川斉昭は、薩摩藩から献上されていた豚肉の味噌漬けを毎年贈られていて食べていたとある。著者も指摘しているが攘夷論者なのに、西洋人の食べる肉が好きな肉食男子とは思わず矛盾を感じる。矛盾があるから人間と言える一例だ。 やはり、影響の面で欠かせないのが出島にあるオランダ商館の役割だ。限られた場所とは言っても、交易をおこなっていれば、いろいろな人が出入りする機会があり、異国の文化に触れる機会が生じる。その中で、珍しい食べ物や飲み物を口にする機会が出てくる。食文化というのはいろいろな文化とのコラボで生まれているのだなと改めて思った。 出版不況と言われながらも、こういう本を出版する出版社は骨太だなあ。
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