タゴール詩集 の商品レビュー
アジア出身者初のノーベル文学賞を授賞したインド人タゴールによる詩集。ギータは歌、アンジェリは合掌を意味し、作者の信仰するヒンドゥー教の神であるヴィシュヌを賛美する歌が大半を占めている。 同じテーマの詩ながら季節、場所、立場を変えて歌っており言葉や感情の色彩の豊かさを感じた。バ...
アジア出身者初のノーベル文学賞を授賞したインド人タゴールによる詩集。ギータは歌、アンジェリは合掌を意味し、作者の信仰するヒンドゥー教の神であるヴィシュヌを賛美する歌が大半を占めている。 同じテーマの詩ながら季節、場所、立場を変えて歌っており言葉や感情の色彩の豊かさを感じた。バラモン教の聖典である「リグ・ヴェーダ」には「ただ一つの実在を賢者たちはさまざまの名でよぶ」という言葉があるらしく(『訳者のことば』に書いてあった)、それと近しいものを感じた。 この詩集には元のベンガル語で書かれた詩を日本語訳したものと、作者が英訳したものを日本語訳にしたものが収められている。けれど不思議なことに英訳されたものは半分ほどしか元のベンガル語の詩と同じ内容ではなく、元の詩とは全く異なった御伽噺のような表現の詩が増えており、違った詩集を読んでいるようで面白かった。 個人的には元のベンガル語の詩で93番と106番が印象的だった。93番は神は人気のない暗い場所にいるのではなく人々の生活の間にいるということを歌っており、ヴィシュヌの様々なものに変身する能力はこんな風に解釈されているのかと興味深かった。また、106番は「祝福された水垢離場」に例えられるインドの様々な人がいろいろなところから集まって成立している様子が海辺に例えて歌われており、インドらしさを感じつつ現代にも通じる移民や多様性の問題に作者なりの答えを感じられるところが好きだった。 また、タゴールの詩は内容だけでなく、書かれたベンガル語での音韻にも優れるらしく読み終わってからYouTubeで朗読を探した。正直、何を言っているのかは分からなかったが押韻の良さは耳に残り、綴られてから100年以上経った今でも愛される魅力の一端に触れたように思えた。
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暁の黄金の光をタゴールの言葉に見る。彼の言葉は不滅の宇宙から届いているみたいに、今も生き生きと伝わってくる。
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少なくとも、彼の歌っている場所はここでないどこかのように思える。夢の中で繰り返し夢を見て、そうして夢の中で悟るような。ミステリアスな穏やかさがある。
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