十津川警部捜査行 恋と哀しみの北の大地 の商品レビュー
〇北海道の空気感を1冊で感じられるが、メインは事件。読み応えある作品ばかり! 北海道に関わる短篇集が5つ。 ・石勝高原の愛と殺意 十津川警部夫妻への招待券を譲り受けた三田村刑事夫妻は、トマムのホテルに着いたが、謎の手紙が届き――とばっちりからの。 ・最北端の犯罪 稚内へ来た記...
〇北海道の空気感を1冊で感じられるが、メインは事件。読み応えある作品ばかり! 北海道に関わる短篇集が5つ。 ・石勝高原の愛と殺意 十津川警部夫妻への招待券を譲り受けた三田村刑事夫妻は、トマムのホテルに着いたが、謎の手紙が届き――とばっちりからの。 ・最北端の犯罪 稚内へ来た記念に札幌開発銀行へ預金をした西本刑事。しかし東京に着いた後部屋が荒らされ――荒らされた理由が思わぬところにありつつ、そこから事件解決の糸を手繰り寄せていく。 ・愛と孤独の宗谷本線 娘を殺された復讐をしたい辻村と、行きずりに出会ったリサ。しかし稚内までの鉄路の中リサが怪しい行動をとり――いくつもの糸が最終的に一本にまとまっていく、短編にするにはもったいないくらいのお話し。傑作。 ・謎と幻想の根室本線 西本刑事の旧友・片山が釧路に行く途中で死んだ。霧を怖がっていたことからヒントを見出した西本が調べてみると――表題の「恋」がもっともはまる作品。 ・青函連絡船から消えた 事件で拘留された被疑者から、西本刑事が人を突き落としたという証言が出た。心当たりがない西本の代わりに十津川が調査すると――えー、犯人そっち!?っていう。 東京と北海道の距離や時間をものともせず、十津川・亀井が部下の刑事たちを率いて捜査に当たる姿は誇らしい。特に「青函連絡船」では、西本刑事の無実を信じて奔走する刑事たちの姿には目をみはる。北海道をテーマにした小説は多いと思うが、この本も傑作のひとつと言ってもいいだろう。
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北海道を舞台にした短編5話(既出)。 石勝高原の愛と殺意(最終ひかり号の女) 最北端の犯罪(特急「おき3号」殺人事件) 愛と孤独の宗谷本線(愛と憎しみの高山本線,十津川班捜査行湘南情死行) 謎と幻想の根室本線(謎と殺意の田沢湖線) 青函連絡船から消えた(十七年の空白,L特急やくも殺人事件) 「本書収録の作品には,現在と違う名称や事実関係が出てきますが,小説作品として発表された当時のままの表記,表現にしてあります」とのこと。 西村京太郎辞典があるといいかもしれない。
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