財務会計の理論と実証 の商品レビュー
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32財務会計の理論と実証(2008)スコット 目的:会計情報の利用者と企業の経営陣の利害が異なることを意識しつつ、現代の財務会計を取り巻く環境を理解すること ・洗練された投資家:将来の業績予測に有用→ALの公正価値評価を望む ・経営者:公正価値評価→利益のボラティリティ上昇→嫌 @cpa_1992 会計研究の役割 1実務に影響:意思決定有用性アプ→ディスクロージャー制度充実 2現在の会計環境理解に寄与:エージェンシー理論→経営者報酬制度の役割 情報の非対称性の種類 1逆選択:一方が情報優位 2モラルハザード:一方は他方の行動を観察できない @cpa_1992 意思決定有用性アプ 1情報パースペクティブ:注記含め、情報を公正価値で 2測定パースペクティブ:金額を公正価値で
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P203 limited attention=投資家はすべての利用できる情報を処理する時間も能力もないかもしれない。「最終利益」のようなすぐに利用できる情報に注目し、年次報告書における注記などの他の情報は無視しているかもしれない。 overconfident, self-attribution bias P204 behavioral finance=投資家行動にもとづく証券市場の非効率性についての研究 Prospect theory…投資家は、予想される利益と損失を別々に評価する⇔意思決定理論…富の合計への影響を考えて投資家が意思決定を行うとする 損失に対してはリスク愛好的 disposition effect 簿価時価比率と将来の株価との正の関係は、合理的な投資家が企業の破綻から身を守ることによって生じているのでなく、むしろ、自身過剰という行動科学的な要因によって生じている P211 CAPMに反するような株式リターンについての証拠は、ベータの変化によって説明できるかもしれない P216 Bernard and Thomas 市場が情報内容を理解するには時間が必要であるか、あるいは相関の大きさを過小評価してしまうために、公表後ドリフトが生じることを示唆している P217 利益に対する当期ののアクルーアルの影響は将来の期に反転することから、将来まで考えると当期における営業キャッシュ・フロー1ドルの方がアクルーアル1ドルよりも、より来期に繰り返し生じる可能性が高い=キャッシュ・フローはより持続的である but 市場はCFとアクルーアルという利益の構成要素まで考慮して微調整していない P218 投資家が手に入れるほどには費用対効果がない情報については、市場は効率的ではないと予想される P316 値域が変化するケースなら、間接モニタリングでファースト・ベストにできる しかし、値域が固定しているケースでは機能しない P324 会計が利得を予測する精度が上がると(ノイズの小さい利益)、より効率的な報酬契約(エージェンシーコスト下げれる)を結べる P347 効率的契約において重要な役割を果たすために必要な利益の特性は、投資家に有用な情報を提供するための特性とは異なっている P384 エンロン、ワールド・コムの原動力はストックオプションにあったかも。 P401 LIFO in US=所得税低減 P461 2つの逆選択問題 市場を適切に運営するためには、誰か1人のための取引が証券の市場価格に影響を与えてしまわないぐらいの十分な数のトレーダーが必要 P462 監査の2つの有用な機能 ①企業のF/Sに信頼性付与 ②もし監査が経営者の不正や怠慢を発見すれば、株主は損害賠償を勝ち取ることができるかもしれないこと ①のみが経営者にとって価値があるので、株主にとって監査はより価値の高いものになる P474 利益団体説 利害関係者によって、求める規制の内容と程度が異なる 規制を需要と供給の存在するような商品であると捉えている P490 全部時価評価…公正価値評価によって生じる未実現損益を報告利益に含めることまでも意味している(ボラティリティはヘッジによって軽減できる) P502 技術的あるいは理論的に正確だからといって、必ずしも基準が成功するわけではない
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情報の観点からみても優れている本。書かれている内容は難解なものばかりであるが、筆者により平易に書かれており、会計の入門を一歩過ぎたあたりで呼んでも問題はないような本である。私がこういうのは生意気ではあるが、学ぶところが多いので、会計を学んでいる方には是非お勧めしたい一冊。
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