見えない宇宙 の商品レビュー
この本は現在の物理学では宇宙についてどのように考えられているのか、つまりは宇宙論について書かれている本です。 現在ある宇宙の謎の一つにダークマター・ダークエネルギーがあります。本書は主にこれらの原因・正体が何であるのか突き止める研究に焦点を当てています。 これらの正体を考える...
この本は現在の物理学では宇宙についてどのように考えられているのか、つまりは宇宙論について書かれている本です。 現在ある宇宙の謎の一つにダークマター・ダークエネルギーがあります。本書は主にこれらの原因・正体が何であるのか突き止める研究に焦点を当てています。 これらの正体を考えるにあたって素粒子物理学が絡んできます。宇宙という超巨大な対象を考えているのに、素粒子という非常にミクロなものを考える必要があるというのは非常に面白く感じました。 また、梶田さんがノーベル物理学所を受賞されたのがニュートリノの観測に関する研究でしたが、ニュートリノが注目されていた理由もこの本でわかりました。 全体的な印象として、宇宙や素粒子が専門でないが物理を学んでいる私にとっては現在の宇宙論やそこにかかわる素粒子論の概要を知ることができ、非常に満足度の高い一冊でした。おすすめです。
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物事を確率によってしか予測できない量子論の不確定性について、アインシュタインは不快感をあらわにし、「神はサイコロを振らない」と強く反対した。アインシュタインにとっての宇宙は神による完全な、洗練した表現であった。他にも多くの研究者が反発していた。 一方でニールス・ボーアは、新しい科...
物事を確率によってしか予測できない量子論の不確定性について、アインシュタインは不快感をあらわにし、「神はサイコロを振らない」と強く反対した。アインシュタインにとっての宇宙は神による完全な、洗練した表現であった。他にも多くの研究者が反発していた。 一方でニールス・ボーアは、新しい科学には奇妙な本質があることを進んで認めた。ボーアとアインシュタインらは量子論について何度も激しく衝突した。 自然の中に不確定性(ランダム性)があることを頑なに拒絶するアインシュタインに対し、ボーアは「何をするべきか神に命じるのはやめなさい!」と言ったのだった。 現在においては、量子論に自己矛盾はなく、おおむね正しいだろうとされている。少なくともアインシュタインは量子論の欠陥を指摘できなかった。 科学的な見方をする際に予断を交えてはいけないと言うけれども、アインシュタインでさえそれを免れることができなかった。 科学的な論考も(よくわからないながら)面白いのですが、こうした偉人たちの逸話もところどころに挿入されていて興味深いです。 ブラックホールに関して賭けを繰り返すホーキング博士とか。
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ダークマターを探して、量子論を展開。やや教科書的だが、宇宙の神秘には心ときめかされる。数学から導き出される宇宙論と、現実の宇宙がかけ離れている感は消えない。数学的に記述される宇宙は実態感を感じず、数学的遊びのような気がぬぐえない。なぜ、そうでなければいけなかったのか。数学は答えを...
ダークマターを探して、量子論を展開。やや教科書的だが、宇宙の神秘には心ときめかされる。数学から導き出される宇宙論と、現実の宇宙がかけ離れている感は消えない。数学的に記述される宇宙は実態感を感じず、数学的遊びのような気がぬぐえない。なぜ、そうでなければいけなかったのか。数学は答えを示してはくれない。
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理論物理学者による一般読者向けの最新宇宙論として非常に読みやすく、且つアインシュタインの相対性理論発表以降100年の宇宙論史の概観もバランス良く見渡しており、宇宙論の入門書としても適している。何より、未だその存在が実証されていないダークマター・ダークエネルギーの存在について、賛否...
理論物理学者による一般読者向けの最新宇宙論として非常に読みやすく、且つアインシュタインの相対性理論発表以降100年の宇宙論史の概観もバランス良く見渡しており、宇宙論の入門書としても適している。何より、未だその存在が実証されていないダークマター・ダークエネルギーの存在について、賛否両論を併記しており、一方的な視点を読者に強いない客観性は好感が持てる。まだ若手の研究者である著者は今後の素粒子論の発展に大きな希望を抱いており、若さ故とも言えるその楽観を自覚もしている様子だけれど、巻末で示されたSF的な未来展望を著者と一緒に見届けたい思いに駆られる。
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銀河の回転の速度がこんなに遅いためには、宇宙の重さがもっと重くないと計算が合わないんだそうだ。原子の形で存在する重量は宇宙の4%にすぎず、30%はダークマター、70%はダークエネルギーという形で存在する。宇宙から素粒子まで、スケールの大きさが楽しい本。ダークマターのところは何とか...
銀河の回転の速度がこんなに遅いためには、宇宙の重さがもっと重くないと計算が合わないんだそうだ。原子の形で存在する重量は宇宙の4%にすぎず、30%はダークマター、70%はダークエネルギーという形で存在する。宇宙から素粒子まで、スケールの大きさが楽しい本。ダークマターのところは何とかついていけたが、ダークエネルギーの話になってくるとやや消化不良。・ダークマターとは何か。MACHOと呼ばれる、はっきりと見えない物質だという説があったが、これはガモフらによる宇宙の物質の総量の計算結果から否定されている。そもそも陽子や電子のように電荷を持つものは光を発するので見えるはず。では、ニュートリノだろうか。スーパーカミオンデはニュートリノの振動を発見し、ニュートリノに質量があることを示した。が、その運動は速すぎて、これがダークマターの主成分だとすると、宇宙は現在あるような構造をとれないニュートラリーノという超対称性粒子はよい候補余剰次元の中を運動している粒子というのもありそうだが、余剰次元のような極めて小さいものを覗くためには極めて小さい振動が必要で、高いエネルギーがないと覗けない。ダークマターなんかない。重力の理論に微妙な修正が必要だという立場(修正ニュートン力学(MOND))も有力らしい。・コペンハーゲン解釈では、波動関数はそれが観測されたときにのみ収縮する。観測者にこのような特別な役割を与えることを捨て去り、観測者は単に、たくさんの並行世界のうちどれの中に私たちがいるのかを教えてくれるにすぎない。■欠陥のある仮定はたいてい、問題が明るみに出されるまでは信頼できそうな仮定に見える■私は未来のことは決して考えない。もうすぐそこまで来ているのだから(アインシュタイン)
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