すべて王の臣 新装版 の商品レビュー
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露の作家アクーニンの評「以後これより意味のあることが長編で書かれた例しはない」。 草の根の活動から知事に登りつめた男ウイリイ。市民感覚の正義を旗印にするが、立場を得るうちに嘗て嫌悪した政治屋に変貌していく。物語の語り部であるジャックは側近として知事の政治工作に奔走する。汚い仕事も厭わないジャックであったが、ひとつの事件の始末が自らのルーツに接近していく。物語の序盤から予感させられるとおりに訪れる破滅は、「悲劇」と安易に呼ぶことをためらわせる。 2段組み538ページの膨大な文章量の密度は濃い。読み通すのに3週間かかったが、捨て置かなくてよかったと思わせる一冊。
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