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万葉の旅(上) の商品レビュー

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2021/03/17

著者は、「万葉風土学」の提唱者として知られる万葉集の研究者で、万葉集に登場する土地を訪ね、それらの風土のなかで歌に込められた思いを読み解いています。なお2021年現在、平凡社ライブラリーから地名などの訂正を施した改訂新版が刊行されているようです。 「こんにち飛鳥をおとずれる人は...

著者は、「万葉風土学」の提唱者として知られる万葉集の研究者で、万葉集に登場する土地を訪ね、それらの風土のなかで歌に込められた思いを読み解いています。なお2021年現在、平凡社ライブラリーから地名などの訂正を施した改訂新版が刊行されているようです。 「こんにち飛鳥をおとずれる人は、あの「有名な」飛鳥川が、どこの田舎にでもある小川にすぎないのに驚き、また飛鳥地方が丘陵の起伏の多いせまくるしいところなのをあやしむ」といい、「この実状こそ飛鳥万葉風土の実相を語るものであって、……なによりも定住者の心で、日常目にふれる山川の風土に対したものにすぎないことをかんがえなければならない」と述べています。もちろん現代では地名の詳細がわからないところもあり、また風景も大きく変わってしまっているところもありますが、このような観点から万葉歌人たちの心にせまることが著者のねらいといってよいでしょう。上巻では、奈良(大和)を舞台にした歌がとりあげられています。 本書が刊行されたのは1964年であり、不鮮明なモノクロ写真ですが、それらの風景も現在の読者にはめずらしく、眺めているだけでもたのしめます。巻末には「万葉集とその歌風」と題された、万葉集についての基本的な知識を整理した解説が付されています。

Posted byブクログ