歴史小品 の商品レビュー
日本人で、かつ特段に中国近現代の文学に興味が無くても、ある程度以上の年代層であれば、郭沫若の名は魯迅とならび、聞きおぼえがあると思う。高校国語などでは教わった記憶が無いので、岩波書店か新潮社あたりの功績によるものだろう。 この小さな歴史小説集も、昔、岩波新書に入っていたらしい。歴...
日本人で、かつ特段に中国近現代の文学に興味が無くても、ある程度以上の年代層であれば、郭沫若の名は魯迅とならび、聞きおぼえがあると思う。高校国語などでは教わった記憶が無いので、岩波書店か新潮社あたりの功績によるものだろう。 この小さな歴史小説集も、昔、岩波新書に入っていたらしい。歴史上の有名人物の、凝縮された局面での心理を、原典文献、史実の香りをモチーフにしつつ滑稽に描いたもの。芥川龍之介と井伏鱒二を混ぜたような印象を受けたが、鋭い風刺や煌めきというのではなく、その人物の、ほっとするような人間臭さを表していることから井伏に近いか。
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老子、荘子、孔子、孟子、始皇帝、項羽、司馬遷、賈誼らの人物についての短編集である。もちろん様々な書物から材を採っているが、最大のモノは司馬遷「史記」であることは、訳注を読むと明らか。エピソードの多くがそこから引用していることが読み取れる。 もちろん四書五経からも多くのエピソード...
老子、荘子、孔子、孟子、始皇帝、項羽、司馬遷、賈誼らの人物についての短編集である。もちろん様々な書物から材を採っているが、最大のモノは司馬遷「史記」であることは、訳注を読むと明らか。エピソードの多くがそこから引用していることが読み取れる。 もちろん四書五経からも多くのエピソードを採る。所謂中国古典教養を換骨奪胎して庶民に「読み物」を提示したのが、これだと思われる。もちろん、途中のちょっとしたエピソードや最後の一文で作者は自らの創作を入れる。それらは画龍点晴と同じく、成功しているのと、失敗しているのがあるだろう。 司馬遷のエピソードは、あまり作者の創作は入らなかった。すっかり「ヒゲがなくなったのに」相変わらずヒゲをさする真似をして舌打ちをするエピソードだけは、作者の創作であろう。真面目な司馬遷が舌打ちをするのか、どうかは私は判断出来ない。 司馬遷は自叙伝を最後まで書き終えた処で、終わらせている。引用は有名な「あの部分」である。そうだろう、そうだろう、と私は肯く。 2014年1月29日読了
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教養書として捉えればよいのだろうが、文学作品としては淡泊すぎる印象。原書の中国語では美文なのかもしれないが、知る由もなく。
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老子・孔子・孟子・始皇帝・司馬遷など中国古代の名だたる人物のエピソードに材を得た8つの短篇からなる。郭沫若の多岐にわたる活動領域を示す歴史小説(再版)。
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