フロベール伝 の商品レビュー
書簡集や日記の記録からそのまま抜き出したフローベールの文章を書き連ねる程度で、それ以上彼の内的な深みや作品評などには踏み込まず、著者は伝記作家として、客観性や公平性を念頭に本著を記している。 ルイーズ・コレからのメンヘラ的な恋愛依存には相当やられている。 女性への奇妙なこだわりが...
書簡集や日記の記録からそのまま抜き出したフローベールの文章を書き連ねる程度で、それ以上彼の内的な深みや作品評などには踏み込まず、著者は伝記作家として、客観性や公平性を念頭に本著を記している。 ルイーズ・コレからのメンヘラ的な恋愛依存には相当やられている。 女性への奇妙なこだわりが面白い。 作品から作者の存在を消そうとする、形式的な方法論に取り憑かれた作家特有の強迫観念がよく伝わる。ジョルジュサンドが指摘していたが、ただまあ、それこそがフローベールの信念と人間の本質であり、安易な形式志向の芸術観では決してない。 癲癇の発作によって亡くなるまで、自分が求める世界の中で忠実に生きたんだなと思い、強い尊敬の念を抱く。
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