少女が知ってはいけないこと の商品レビュー
心の成り立ちみたいなはなし。女に知識は要らないといった時代から、想像力を手にして成長していく。みたいな。ちょっと難解な部分もあるので全部を理解するのは一度読んだだけでは無理かも。
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人間の歴史を遥か、神話的な彼方まで見通したとき、そこにはいつも始原の女性が存在したことに気づきます。わたしたちの伝統では国づくりの神、「いざなみの命」。ギリシア・ローマからキリスト教文化へと引き継がれた西洋では、禁断の果実を食したエヴァや、やはり禁じられた「つぼ」を開き、人類に...
人間の歴史を遥か、神話的な彼方まで見通したとき、そこにはいつも始原の女性が存在したことに気づきます。わたしたちの伝統では国づくりの神、「いざなみの命」。ギリシア・ローマからキリスト教文化へと引き継がれた西洋では、禁断の果実を食したエヴァや、やはり禁じられた「つぼ」を開き、人類に病苦や災いをもたらしたとされるパンドラ…彼の地では、始原の女性が犯した罪により、人類の運命が定められてしまったという、とんでもない、しかし正直興味をそそられる伝承が、ひとびとの歴史に亡霊のようにとりついてきたようです。
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後付けの結果論的解釈なのか最初からそういう意図があったのか私には分からないけど、奥が深い(奥深く)解釈があるんですね。面白かったです
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女性とは、ひとつの巨大な謎であるように思う。謎は求められる。謎は追われる。謎は逃げ、謎は隠れる。では、女性というこの不可解は、いつ、どのようにして謎になったのか、謎として発見されたのか。古来より様々な形で遺され、伝えられてきた謎の痕跡を辿ることで、その輪郭を明らかにしようというの...
女性とは、ひとつの巨大な謎であるように思う。謎は求められる。謎は追われる。謎は逃げ、謎は隠れる。では、女性というこの不可解は、いつ、どのようにして謎になったのか、謎として発見されたのか。古来より様々な形で遺され、伝えられてきた謎の痕跡を辿ることで、その輪郭を明らかにしようというのが、本書の目的である。 『少女が知ってはいけないこと』という魅力的なタイトルが語っている通り、「少女」と「禁忌」の関係性が「知る」という破戒を通してどの様な変貌を遂げてゆき、どの様な物語として展開するのかを、世界中に散らばる様々な物語を横断しながら分析してゆくというのが本書の方法である。 この方法論自体は、レヴィ=ストロースに代表され、日本では中沢新一などが頻繁に実践してきた神話学的なアプローチの系譜を踏襲したものであるが、女性という繊細な観念を操作する上でも大いに力を発揮しており、その点では最適な手法と言えるだろう。 重要なのは、本書で扱われているのが単なる女性ではなく、少女であるという点だ。ここには看過すべきでない必然性がある。ではその必然性とは何か。禁忌と遭遇するのが少女でなくてはならないのは、何故なのか。 それは少女が、女性ではないからだ。確かに生物学的な意味では既に十分女性であると言えるかもしれない。しかし、概念としては、未だ淡く、薄い、中間的な性である。"知ってはいけないこと(=禁忌)"を"知ってしまう"ことで生じる引き裂かれた時空を物語るのは、少女という中間的な存在でなくてはならないのだ。 少女は謎に出会い、禁忌を犯し、それを知る。好奇心の暴走から始まるこの一連の過程で少女が獲得してゆくものが、他ならぬ女性性である。禁忌を犯し、謎を知った少女は、それらからの当て所ない遁走の果てに、やがて自らを謎として、禁忌として構築してゆく。女性という観念が往々にしてタブー視され、崇拝されてきた所以を、著者はこのプロセスの中に見出した。 少女は謎を纏い、謎となることで女性になってゆく。自らを覆い、自らを伏せる存在、それが女性である。だから、女性はその存在形式からも、本質的に謎でしかあり得ない。これまでそうであったように、これからも魅惑し、挑発する、甘美な謎であり続けるのだ。
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「タイトルにそそられた私こそが罪の証。」 エデンの園で蛇にそそのかされ禁断の果実を食べてしまったエヴァ以来、「好奇心」と「虚栄」と「嫉妬」という性癖を負ってきた女性。神話から童話、伝承に至るまでを紐解き、そこに描かれたエヴァの子孫たる女性の系譜を明らかにしていく。 妖しげな...
「タイトルにそそられた私こそが罪の証。」 エデンの園で蛇にそそのかされ禁断の果実を食べてしまったエヴァ以来、「好奇心」と「虚栄」と「嫉妬」という性癖を負ってきた女性。神話から童話、伝承に至るまでを紐解き、そこに描かれたエヴァの子孫たる女性の系譜を明らかにしていく。 妖しげなタイトルから好奇心をくすぐられ、つい手にしたのですが、著者によればまさにこういうところが女性の本来持っていた最も罪深い部分だということになるのですね。禁断の果実に手を伸ばしたエヴァも、決して見てはいけないといい含められたのにも関わらず、夫・エロスの寝顔をランプで照らしてしまったプシュケも、女の試練はここから始まったと語り起こされます。私と同様この本のタイトルにつられてしまったあなた、本書は物語や伝承から社会の中で女性という存在がどのように捉えられてきたかを真面目に考察した本なのです。 「エデンの園」「エロスとプシュケ」「白雪姫」に「シンデレラ」、「美女と野獣」最後は「水の精オンディーヌ」まで時を超えて、著者はそうした物語の中に繰り返し出てくるモチーフや相似点などを見出していきます。そこに女性という生き物の普遍性や知識を得ることによって成長をとげてきた恋愛や結婚についての女性の心の変遷を明らかにすることを試みています。 一つ一つの章は非常に興味深く読みましたが、章によっては独立したテーマとして発表されたものもあるらしく、本書をより普遍的な「女性の歴史」という捉え方でみようとすると、始原の女性を聖書の「エヴァ」に置いていることや取り上げられている作品や国も限られているので、少し苦しいかなという感じもしました。 それにしても日本よりよほど先進的と思われる17世紀西欧においてなお、女性が本を読んで知識を得ることが禁忌であったことに驚きました。そこでは昔話も物語も、あくまで少女たちをより道徳的な価値観を選びながら良き妻良き母として現実の社会に対応させていくためのツールに過ぎないことがわかります。1000年昔の日本に、すでに文字や書物を手にし、今では世界に読まれる恋愛小説や日記をものし自己を発信していた女性たちがいたことに思いを馳せました。
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・エデンの園から美女と野獣まで。様々な禁忌とその裏にあるメッセージを考察しています。 禁忌を与える者と与えられるものの関係から心と自然の関係まで繋がっていくところが面白い! ・「死によって死ぬことはない」という言葉がずっと理解できませんでした。ちょっと離れて再び考えた瞬間には掴...
・エデンの園から美女と野獣まで。様々な禁忌とその裏にあるメッセージを考察しています。 禁忌を与える者と与えられるものの関係から心と自然の関係まで繋がっていくところが面白い! ・「死によって死ぬことはない」という言葉がずっと理解できませんでした。ちょっと離れて再び考えた瞬間には掴めたような気がするんだけど、すぐに手からすり抜けていく。この抽象的な概念をひったすらに考えてました・・・。今は、というと言っている事は分かるけど、それを心の中でしっくりと納得できるまでには至っていない。
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