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2024/04/28

日本国憲法の戦争放棄の源流はウェルズにあり

ウェルズ晩年の衝撃作。訳文本編の後に、訳者・浜野輝氏の論考『H.G.ウェルズ』が収録されているのだが、驚くべきことにそこで「アメリカから押し付けられたと俗に言われる日本国憲法のその明かされないルーツは、明らかにウェルズの手による1940年の(人類史上初の世界人権宣言)『サンキ―人...

ウェルズ晩年の衝撃作。訳文本編の後に、訳者・浜野輝氏の論考『H.G.ウェルズ』が収録されているのだが、驚くべきことにそこで「アメリカから押し付けられたと俗に言われる日本国憲法のその明かされないルーツは、明らかにウェルズの手による1940年の(人類史上初の世界人権宣言)『サンキ―人権宣言』にある」と看破されている。恐らく日本に生まれて教育を受けたあらゆる人に衝撃を与える叙述でないかと思う。自分の読み比べた所では、成る程、あながち眉唾ではないと思われる。まあそれは、先ずこの本の『第36章 世界人権宣言』と、我が国の『日本国憲法』の主に基本的人権に関する箇所とを見比べる事で、各々が判断するべきことだろう。その為には、万人がこの本を読まねばならぬ事になる訳ではあるが。
しかし、SFの父、ウェルズの仕事の偉大さには、本当に驚かされる。何しろ、21世紀に生きる我々日本人全員の現実を、ある種彼のSFの一部にしてしまった。まるでP.K.ディック(彼もウェルズの政治思想に強く影響された作品を多数書いた)の『高い城の男』の、自分の住むフィクションの壁を超えて現実を見てしまった男の気分だ、と思う。
尤も、我々の現状はやはりウェルズの祈念とは逆方向に影響された事明らかではあるが。
1983年出版の本である。そこから東西冷戦の構図は崩れる。全世界にとって、その時に最大のチャンスがあった。日本という国がウェルズの思いをほんの建前にでも理解していたならあるいは…とも思う。もしかしたら別の道があったのかも知れない。この戦争の暗雲が濃くなって晴れそうにもない2024年とは、別の世界に行き着く道。それは少なくとも今よりも誇らしい国の在り方であった様に想像されてならない。