圧縮性流れの理論 の商品レビュー

E.ラサクリシュナン,鈴木宏二郎,久保田弘敏【著】

2022/12/05

物体周りの波動現象。

大学院の「圧縮性流れの力学」の参考書として使用。非線形方程式のポテンシャル流れや薄翼理論を解説し、全般的に授業内容に合致する。要所では近似を加えて見通しの良い結果を導いたり、衝撃波や膨張波を伴う翼を揚力/抗力係数で評価したりと応用的な内容である。
2～3次元流の解説が半分近くを占める。以前レビューした「圧縮性流体力学―内部流れの理論と解析」とは対照的に、外部流れに重点が置かれた印象である。難しい内容も大きめの図を用いてわかりやすく工夫されている。
節ごとに例題が挙げられ、解答が詳しいのが良い。章末でも出題され例題と合わせて問題数が多い点も良い。ただし第6章で熱伝達に関する問題が少ないのが残念である。

目次
1.定常１次元流れ
2.垂直衝撃波の理論
3.斜め衝撃波と膨張波の理論
4.圧縮性ポテンシャル流れの方程式
5.微小擾乱理論
6.摩擦と熱伝達のある流れ