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日本仏教と民衆化 の商品レビュー

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2020/04/10

聖徳太子、親鸞、二宮尊徳、小林一茶らが仏教の思想をどのように受け取っていたのかということを論じた文章などを収録しています。 著者はまず、仏道とは「道」と「求道者」の二つを信じていく歩みのことにほかならないといいます。そのうえで、聖徳太子によって書かれたとされる『三経義疏』につい...

聖徳太子、親鸞、二宮尊徳、小林一茶らが仏教の思想をどのように受け取っていたのかということを論じた文章などを収録しています。 著者はまず、仏道とは「道」と「求道者」の二つを信じていく歩みのことにほかならないといいます。そのうえで、聖徳太子によって書かれたとされる『三経義疏』について検討をおこない、在家菩薩の実践を尊重し真の仏弟子の自覚に立って「和」を社会に実現することがめざされていたと主張して、「十七条の憲法」の根幹をかたちづくる「和」の精神が仏教思想にもとづいていたことを明らかにします。 また著者は、原始仏教における輪廻の自覚が、親鸞による無明の凡夫の自覚につながっていることを明らかにし、同時に解脱の発想が道綽や善導を通じて、阿弥陀仏の本願によって往生を遂げるという親鸞の考えに流れ込んでいると主張し、原始仏教から親鸞の浄土教理解へと仏教の本質的な考えが受け継がれていったと論じています。 さらに近世の日本において仏教の思想が民衆のあいだに受容されていったことを、二宮尊徳と小林一茶の思想や作品を通して明らかにされています。 日本仏教思想史というよりも、聖徳太子や二宮尊徳にかんする著者の独自の見方が提示されている本という印象です。

Posted byブクログ