iPS細胞ができた! の商品レビュー
人類史上に残る大発見と言われた京大の山中伸弥教授研究室によるiPS細胞発見について、元・京大ウイルス研究所所長でシオノギ製薬副社長も務めた畑中氏との対談インタビュー形式で紹介した本です。 まったくの門外漢で、iPS細胞といわれても何のことやらさっぱりわからなかった自分にも、どんな...
人類史上に残る大発見と言われた京大の山中伸弥教授研究室によるiPS細胞発見について、元・京大ウイルス研究所所長でシオノギ製薬副社長も務めた畑中氏との対談インタビュー形式で紹介した本です。 まったくの門外漢で、iPS細胞といわれても何のことやらさっぱりわからなかった自分にも、どんな発見で将来的にどのように役立つ可能性があるのか理解することができました。 ただ、初歩的なことがわかると、次はもう少し詳しい話が知りたくなるのが人情ってもので、例えば「レトロウイルス」だとか「転写因子」だとか、この本だと簡単な注釈で済まされてしまっている内容について、より踏み込んだ解説があればよかったのになどと思ってしまいます。 というのは、この本、やたらと活字が大きくて、しかも代り映えのしない二人の対談風景を写した写真が多用されてたりして、ページ数の割に内容が薄いんですね。 それならもうちょっと内容充実させてくれてもいいのに、とついつい思ってしまいます。 対談の中で印象に残ったのは、山中氏のアメリカでの体験談。 学会で渡米したときに、たまたま乗ったタクシーで、運転手に「何の研究をしているのか?」と訊かれて、「幹細胞だ」と答えたらその話題で盛り上がったというエピソード。 日本じゃあり得ない話で、米国の一般人レベルでの医科学に対する関心は日本とは比べ物にならず、それが科学に関する彼我の層の厚さの違いにつながっているのでは、という話です。 何となく、数理系については一般には日本のほうが上をいってるようなイメージを持っていたけど、そのへん認識を改めなきゃならないようです。 そんなこともあって、iPS細胞についても、応用研究については日本はかなり劣勢に立たされるのでは、というような悲観的な見方も述べられています。
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ヒトの皮膚細胞から、様々な細胞になれるように、遺伝子をウイルスで運ばせて作った「iPS細胞」。作製に成功した京都大学研究チームの山中教授と、ウイルス学の権威である畑中名誉教授が、夢の万能細胞について語る。
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA86007980
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iPS細胞作製に成功した山中京大教授。対談形式でウィルス学権威の畑中京大名誉教授が経緯や背景を追う。iPS細胞の発表から1年、ノーベル医学生理学賞受賞から遡ること4年、興奮冷めやらぬ、しかしノーベル賞の過熱感もなく、教授自身が冷静に研究を推敲する十分な時間を経た、とても良い時期に...
iPS細胞作製に成功した山中京大教授。対談形式でウィルス学権威の畑中京大名誉教授が経緯や背景を追う。iPS細胞の発表から1年、ノーベル医学生理学賞受賞から遡ること4年、興奮冷めやらぬ、しかしノーベル賞の過熱感もなく、教授自身が冷静に研究を推敲する十分な時間を経た、とても良い時期に出版された本。 両名が読者を意識して極力平坦な言葉で専門用語を語る姿、だが時々読者を忘れて専門分野を熱っぽく語る姿が素晴らしい。まさに研究者。 兎角、基礎研究の政府補助の在り方に批判が集まりがちだが、山中教授の「アメリカは政府の支援だけではなく科学に対する一般の人々の意識も高い。だから民間からも支援が集まる。いまの日本では善戦はできても競争に勝つのは無理」(難しいではなく)と発言されていたのは、非常に耳が痛い。科学の発展に貢献するにはまず我々が科学に関心を向けることが大切であろう。 内容はもとよりお二人の素晴らしい人柄が偲ばれる良著。
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iPS細胞って何?という感じで読みやすい本。対談形式で進められている。専門的な話が全く無いところをヨシとするなら、対談者を著名な先生ではなく、過去にあった南辛坊さんのような方への語りかけ方式の方が良かったと感じる。やはり研究者はやりたいことをやっている人が大成するんだと考えさせら...
iPS細胞って何?という感じで読みやすい本。対談形式で進められている。専門的な話が全く無いところをヨシとするなら、対談者を著名な先生ではなく、過去にあった南辛坊さんのような方への語りかけ方式の方が良かったと感じる。やはり研究者はやりたいことをやっている人が大成するんだと考えさせられる本でした。
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iPS細胞を発見した山中京大教授と、京大名誉教授である畑中正一先生の対談の本。 研究までの歴史、現状などについても述べており、技術論などだけの本ではない。さくっと読めるような文字の大きさも含めて、概観を眺めるにはよいが、技術的なものを読みたい人は他書の方がよいかも?
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iPS細胞発見のちょっとした裏話的なことが書かれていたのが面白かった。山中先生がどういう経緯でこの発見に到ったのかが、対談形式で表わされているので分かりやすくて、山中先生の成功した時の感動がリアルに伝わってくる。 そして、研究ってこういう感じなんだ~という空気がすこしつかめたかな...
iPS細胞発見のちょっとした裏話的なことが書かれていたのが面白かった。山中先生がどういう経緯でこの発見に到ったのかが、対談形式で表わされているので分かりやすくて、山中先生の成功した時の感動がリアルに伝わってくる。 そして、研究ってこういう感じなんだ~という空気がすこしつかめたかな。私としては、ここもけっこう貴重なポイントだった。
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昨年の11月に全世界を驚かせたiPS細胞(人工多能性幹細胞) ES細胞に代わる新しい再生医療の材料として非常に注目を浴びている。 受精卵を使用しないため、倫理的な問題がなく、すでに過当競争の兆しすら見えはじめている。 本書はiPS細胞を発明した山中先生と畑中先生との対...
昨年の11月に全世界を驚かせたiPS細胞(人工多能性幹細胞) ES細胞に代わる新しい再生医療の材料として非常に注目を浴びている。 受精卵を使用しないため、倫理的な問題がなく、すでに過当競争の兆しすら見えはじめている。 本書はiPS細胞を発明した山中先生と畑中先生との対談を本にまとめたもの。 初めての人にもとっつきやすい内容ではないだろうか。専門的に知りたい人には不満かもしれない。 本書とは関係ないが、今後、日本と海外(特に欧米)との研究環境の大きな違いが本研究によって浮き彫りになるのではないだろうか。 この問題を日本発の技術をリードできなくなって、初めて知るのでは日本の科学の未来は暗いように思える。 資金、サポート体制の差によって欧米に負けることとなれば、日本の科学技術政策のあり方を根本的に見直す必要がある。 その契機となる研究分野になる可能性があると自分は思う。
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(2010.10.05読了)(2010.09.29借入) *2012年度、ノーベル医学・生理学賞受賞* NHKテレビでiPS細胞の話をしていた。だいぶ前から新聞などで目にしていたけど、じっくり読んだことがなかったので、この機会に読んでみることにしました。 「ヒトの皮膚細胞から作ら...
(2010.10.05読了)(2010.09.29借入) *2012年度、ノーベル医学・生理学賞受賞* NHKテレビでiPS細胞の話をしていた。だいぶ前から新聞などで目にしていたけど、じっくり読んだことがなかったので、この機会に読んでみることにしました。 「ヒトの皮膚細胞から作られたiPS細胞は、体中のあらゆる細胞に変化できるという、まさに「夢の細胞」だ。自分自身の細胞を使って、悪くなった部分を治したり、取り替えたりすることができるようになる。」(3頁) ●関連する研究 1996年、クローン羊「ドリー」誕生 1998年11月、ヒトのES細胞を取り出すことに成功(受精卵を利用) 2006年8月、マウスの皮膚細胞からiPS細胞を作り出すことに成功したと発表 2007年11月20日、ヒトの皮膚からのiPS細胞作製に成功と発表 ES細胞の場合は、受精卵を使用するため、倫理面から研究が進めにくかった。 ヒトの皮膚細胞に4つの遺伝子をウイルスを使って組み込み、iPS細胞を作ることに成功 皮膚細胞とはいっても、表皮細胞や真皮細胞ではなく、皮膚細胞と皮膚細胞の間をくっつける役目の繊維芽細胞が利用された。 動物の場合は、受精卵から細胞分裂を繰り返して、特定の動物になるので、未分化の細胞から臓器や皮膚や骨などの分化した細胞へと一方通行で進んでゆくのですが、iPS細胞は、もう一度未分化の状態に戻った細胞と言うことです。 研究成果を発表した後、皮膚や筋肉などに分化した細胞を、元の未分化な状態に戻す、しかもたった4つの遺伝子でできる、ということを信じてもらえなかった。 ところが、アメリカの大学で、追試に成功し、嘘でないことを信じてもらえた。 マウスでの実験に入る前に、4年かけて、2万数千の遺伝子から24の遺伝子に絞った。 その際、遺伝子のデータベースを利用した。 残した24個の遺伝子があれば、できる(何ができるのか不明)ことがわかったので、そこから先は、1個ずつ取り除いて見たらどうかというアイデア、本当に大事な因子だったら、残った23個全部あってもだめになるだろう、ということで、実験を進めた。 その結果、4つの遺伝子が残った。4つの遺伝子は、全部、転写因子(遺伝子の読み手)だった。転写因子は、細胞の設計図である遺伝子を解読する役割があります。 4つの遺伝子とは、Oct3/4(オクトスリーフォー)、Sox2(ソックスツー)、Klf4(ケーエルエフフォー)、c-Myc(シーミック)の4つです。シーミックは、ガン遺伝子として有名ですが、ガンを作るための遺伝子ではなく、細胞の増殖のときに大事な遺伝子です。さらに、傷の再生、肝臓の再生、細胞の再生のときに欠かせない遺伝子です。 シーミックは、必須ではないことがわかったので、3つの遺伝子で、間に合うことになります。シーミックの役割は効率を上げることだった。 再生医療のシート(95頁) 本人の脚の筋肉から細胞を採って増殖させ、5㎝ほどの薄い膜のシートを作り、弱っている心筋の上に貼って狭心症の治療に使用している。(大阪大学、澤芳樹教授) iPS細胞を使って、同じようなことをできる日がいつか来るのでしょうか? トカゲとイモリ(97頁) トカゲは尻尾を切ったら尻尾が生えますが、骨は生えません。イモリは手を切ったら骨まで生えるので、再生能力がすごいんです。 iPS細胞は緊急時には間に合わない(122頁) iPS細胞は、皮膚細胞から作れるので、本人であれば、拒絶反応は起こらないわけですが、ウイルスにiPS細胞を入れるのに一カ月、iPS細胞から目的の細胞を分化させるのに一カ月かかるので、緊急時には間に合いません。拒絶反応のタイプごとのiPS細胞のバンクを作っておいて、利用する方法が、考えられる。200種類用意すると、相当カバーできる。 薬の臨床試験用に(130頁) 動物実験で有効性が確認できた薬でも、人間には合わない場合があるので、iPS細胞を利用して、実験ができれば、人間への有効性、毒性を確認できるのではないでしょうか。 対談であり、活字が大きいので、すぐ読めます。 (2010年10月7日・記)
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まちがいなく次代の再生医療を担っていくであろうiPS細胞(人工多能性細胞)の開発という、世界的な仕事を成した山中伸弥氏と、その無限の可能性を広く一般に広めたいと考える畑中正一氏の対談本。 分化した体細胞に遺伝子導入を行って、未分化の細胞に戻すことができるという発見は、まさに生...
まちがいなく次代の再生医療を担っていくであろうiPS細胞(人工多能性細胞)の開発という、世界的な仕事を成した山中伸弥氏と、その無限の可能性を広く一般に広めたいと考える畑中正一氏の対談本。 分化した体細胞に遺伝子導入を行って、未分化の細胞に戻すことができるという発見は、まさに生物学の常識をひっくりかえした非常にすばらしい功績である。理論的には、iPS細胞によって再生医療にまつわる倫理的問題はほぼ完全に払拭されるとも言える上、今後の研究によってベクターの影響を取り払うことができるようになれば、拒絶反応その他の技術的リスクも考えずに済むようになる。まだ道は遠いと思うが、早期の臨床応用が実現されることを強く望む。 それにしても、昨年の11月に発表されたこの研究について、即座に書籍を作ろうと考え、超多忙でおそらく執筆の余裕のない山中氏を対談の形で表に出した編集者のフットワークには頭が下がる。この迅速性は、本書の価値を大いに高めている。 ただ、途中から一般の方が読むのには難しいと思われる記述も散見された。贅沢を言えば、終始一貫して誰にでもわかる内容に編集してほしかったとも思う。
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