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エロチックメルヘン3000年 の商品レビュー

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2016/08/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

タイトルに「メルヘン」とありますが、実際のところ、本全体を通じて、メルヘンの中のエロティックな部分について詳述されている感じではありません。「エロス」を「特殊な性的嗜好があること」という広義で捉えた上で、いくつかのメルヘンを取り上げて著者の持論を展開している、といった感じの本です。 終盤で取り上げられている日本の昔話のうち、花咲かじいさんとかになってくるともはやエロスの話はほぼ皆無。タイトルの「エロス」に引っ張られ、無理やりその枠に押し込めようとして歪みが生じてしまっている感もあります。こう考えると、タイトルに内容が負けてしまっているような印象です。 第一章は神話の中の男女の扱いについて。多くの神話において、最初の人間は両性具有であるというのは初めて知りました。ペルシャ神話において男女一体だった最初の人間をアフラ・マスダという神が男女に分割し、その話が旧約聖書のアダムとイブに転化されたというのは面白い見方。そして、男女が一対になる性交は、かつての両性具有だった時代、つまり神に近い存在だったことを想起させる行為である、という著者の説につながっていきます。 次に出てくるのが「禁止の魔力」。ギリシャ神話のパンドラの箱、浦島太郎の玉手箱、イザナギの冥界下り。いずれも、「●●してはいけない」と言われたことへの誘惑に抗えなかった主人公たちが受難する話です。エロス云々ではなく、洋の東西を問わず似たようなエピソードが神話や童話にあるというのは興味深い。探せば他にもたくさんありそうです。 中盤以降は、代表的な童話の歴史を紐解いているような感じ。シンデレラのプロトタイプが「灰かぶり姫」という名前だったのは知ってましたが、グリム童話にはカボチャの場所もガラスの靴もなかったこと、ガラスのハイヒールはディズニーの創作であることなんかは初耳でした。 また、白雪姫もグリム童話では賢く美しい7歳の少女だったところ、ディズニーが話の展開をやりやすくするために単に見た目が可愛いだけの、王子を待つことしかできない10代後半の女性にしてしまったというのも初めて知りました。物語が本来持っている意味合いを殺してしまったという意味で、ディズニーの罪は大きいと言えるかもしれません。 非常に面白い論を展開しているところも何か所かあるんですが、いかんせん神話やら童話やらの説明の中で著者のアイデアがちょこっと述べられているだけで、メルヘンの中にどんなエロスが秘められているのか、という肝心なところの読みごたえや一貫性、分類した上での分析があまりありません。惜しい本だな、という読後感でした。

Posted byブクログ

2009/12/01

「なるほど」と思うか「そうかなあ」と批判的疑問を持つかは人それぞれ。ここに書かれた内容は、あくまで著者の見解であって、それが正しいというわけではない。童話の色々な見方を示す一例として捉えるのがいいと感じた。

Posted byブクログ