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球形の荒野/死の枝 の商品レビュー

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2018/05/02

謎めいたタイトルの長編'球形の荒野'と、'死の枝'というタイトルで括られた11編の短編。'球形の荒野'では、第二次世界大戦の幕引きに関わった人物群が戦後のある出来事をきっかけに蠢きだす。戦後も17年経過したある日、古寺の...

謎めいたタイトルの長編'球形の荒野'と、'死の枝'というタイトルで括られた11編の短編。'球形の荒野'では、第二次世界大戦の幕引きに関わった人物群が戦後のある出来事をきっかけに蠢きだす。戦後も17年経過したある日、古寺の芳名帳に、戦中スイス大使館で勤務、病死したはずの書記官に酷似した筆跡を、遺族が眼にし、物語が謎解きに向け、展開していく。予定調和的な結末への予感を抱きながら、読み進めていく中、戦後も引きずっている人生ドラマが明らかにされる。元外交官の加瀬俊一氏が解説を書いているが、ここに歴史の裏舞台が生々しく紹介されており、一読に値する。短編集はどの作品もよく練られた構想のもと、読み易く書き下ろされている。テーマの取り方にも味わいがあり楽しめる。

Posted byブクログ