エペペ の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
最初は「天国に一番近い島」的な作品を期待して読み始めたがそんな軽い作品ではなかった。そして伏線?らしきものが未回収だったり、意味深だけど意味がない展開が多々挿入されていて、不完全燃焼は否めないけど、作風を思えばそれもまた味である。僕は好き! この本の主題は、近現代社会におけるディスコミュニケーション性とアンチ日常性であると思う。 アンチ日常性という部分。主人公対大衆という構図で描かれている。大衆は時、場所、状況を選ばず常に溢れかえっている。そして同じ周期で毎日を過ごしている。そこで一人、別方向に動くのが主人公。近現代において人のマス化が進み、「同じ方向を向いて、同じことを、同じ周期で」という日常性を主人公の存在によって浮き彫りにしている。読者という立場では、作品内の大衆は薄気味悪く感じられるが、僕たちも同じようにマス化された集団として生活していることに気づく。 主人公はこの世界の言語についてまったく理解ができない。身振り手振りもほとんどが通じずコミュニケーションを取ることができない。作品が描かれた時代からは到底想定できることではないが、このように人との意思疎通の困難さというのはむしろ現代において顕著である。そのような近現代のディスコミュニケーション性を指摘しているように取れる。
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エペペってなんだろう、と思って読んでみたのだけど、結局、これは、何!?という混乱がうずまいてしまっただけという。エペペな国に迷いこんでエペペな群衆と押し合いへし合いしたり、エペペなエレベータガールと浮気したりエペペな銃撃戦に巻き込まれたりする話です。頭がくらくらする、と思いながら...
エペペってなんだろう、と思って読んでみたのだけど、結局、これは、何!?という混乱がうずまいてしまっただけという。エペペな国に迷いこんでエペペな群衆と押し合いへし合いしたり、エペペなエレベータガールと浮気したりエペペな銃撃戦に巻き込まれたりする話です。頭がくらくらする、と思いながらもぐいぐい読んでしまった。秀逸な悲喜劇。
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どこの国の言葉かもわからない、言葉の仕組みもわからない。その町はどこにいっても人だかりなのに、エペペの言葉を理解しない者には一人残らず冷淡だ。いま、間抜けな言語学者ブダイの勇敢な冒険がはじまる!エペペという単語の発音の快楽だけでご飯三杯はいけるよねとかどうでもいいことを考えつつ、...
どこの国の言葉かもわからない、言葉の仕組みもわからない。その町はどこにいっても人だかりなのに、エペペの言葉を理解しない者には一人残らず冷淡だ。いま、間抜けな言語学者ブダイの勇敢な冒険がはじまる!エペペという単語の発音の快楽だけでご飯三杯はいけるよねとかどうでもいいことを考えつつ、この迷路のような世界で途方に暮れるのは悲しくもなぜか楽しい。著者はハンガリー出身とのことで、やはりこうした暗いユーモアはどこか東欧の匂いを感じさせる。不条理を笑えない人には、条理の喜びも伝わることはないのだろうとふと思う。エペペ!
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試してみてはダメ、試してみてはダメ、の連続で気が萎える。 人が人を理解しない殺伐とした世界だけど、朝の駅のホームを思い浮かべると、この架空の世界は、実際に私たちの世界の一部だと思える。 物悲しい話。
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頭が死ぬほどこんがらかります、でもすごく示唆的な本。 言葉をやってる人には特に考えさせられる本かも。
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