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広場の孤独 の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2024/08/20

朝鮮戦争が始まった時期の東京で、降って湧いたような軍事特需の中で慌ただしく新聞社で働く翻訳記者、内職で海外小説の翻訳もしている主人公・木垣がその時代や世相に否応なく巻き込まれ社会にcommitせざるを得なくなり、自身の魂を如何にして守るか・保ち生きていけるのかを悩み足掻く作品。や...

朝鮮戦争が始まった時期の東京で、降って湧いたような軍事特需の中で慌ただしく新聞社で働く翻訳記者、内職で海外小説の翻訳もしている主人公・木垣がその時代や世相に否応なく巻き込まれ社会にcommitせざるを得なくなり、自身の魂を如何にして守るか・保ち生きていけるのかを悩み足掻く作品。やがて新たな自己の現実を創造する以外に道のないことを悟り、その一歩を踏み出す、それは題名にもある『広場の孤独』という小説を書き出そうとしたところで作品は終わる。絶妙且つ作為的、それはコミュニストかと疑われる同僚の記者に「御国」と名付ける企みからも明らかで、国の政治がいかに莫迦げて滑稽かということを表している。何だか出来すぎているようで、でもやはり見事な1951年度下半期芥川賞受賞作。

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2020/06/09

全く終わりの見えない朝鮮戦争のさなか、転職して新聞社に入った木垣は、新聞社内における共産主義者の葛藤、仲間の外人記者の苦悩などを見ながら、自分の方向性に戸惑いを覚える。 短い小説で、それなりに事件のようなものがあるんだけど、論文を読んでいるようだった。共産主義者で、新聞が書くこ...

全く終わりの見えない朝鮮戦争のさなか、転職して新聞社に入った木垣は、新聞社内における共産主義者の葛藤、仲間の外人記者の苦悩などを見ながら、自分の方向性に戸惑いを覚える。 短い小説で、それなりに事件のようなものがあるんだけど、論文を読んでいるようだった。共産主義者で、新聞が書くことが事実になっていくという自負のある同僚、どこに行くにもスパイに見張られている外人記者たち、世界を股にかけ、木垣とは大戦中に親しくしていた謎の商人、二重三重にスパイを行っていた内縁の妻など、必要以上どころか、やりすぎというくらい役を持たせている登場人物たち。ところが、彼らがそれほど活躍するわけではない。突然現れて大金をぽんと渡して去っていったり、口だけ勇ましいことを言って消えていく。 そういう世間の荒波の中で、どうにも手も足も出ない主人公のことを、タイトルにしているのはわかる。しかし、小説として、まわりがどんどん流れているのを傍観しているだけでは面白みに欠ける。 悶々とようやく動くかと思ったところで、すでに残りは約20ページで、うーん、時代のものかもしれないが、合いませんでした。

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2018/11/27

 戦後まもなく朝鮮戦争が起こり北鮮軍と呼ばれ、日本は米国側に立って陰で支えていた。中国では共産党が中共政府を打ち立て、中東ではイスラエルが建国され、イエメンからユダヤ人たちが飛行機で約束の地へ向かう!日本は日本共産党が勢力を増している時代を感じさせる内容である。当時の日本社会の世...

 戦後まもなく朝鮮戦争が起こり北鮮軍と呼ばれ、日本は米国側に立って陰で支えていた。中国では共産党が中共政府を打ち立て、中東ではイスラエルが建国され、イエメンからユダヤ人たちが飛行機で約束の地へ向かう!日本は日本共産党が勢力を増している時代を感じさせる内容である。当時の日本社会の世相が決して平和でなく混沌とした不安に満ちた時代として描かれている。主人公がはっきりせず、小説としては面白みに欠けるところかな。

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2015/11/14

★2.5かな、ちょっと散漫な感じがするし、何より文章が綺麗でないというかリズムが良くない、あるいは合わない。この時代の書物に共通してみられる特有のリズムがここには確かにあって、同時代性を相当程度有していたんだろうなと想像は容易に出来ます。 また扱う題材も当時の切迫した政治・社会・...

★2.5かな、ちょっと散漫な感じがするし、何より文章が綺麗でないというかリズムが良くない、あるいは合わない。この時代の書物に共通してみられる特有のリズムがここには確かにあって、同時代性を相当程度有していたんだろうなと想像は容易に出来ます。 また扱う題材も当時の切迫した政治・社会・国際情勢を反映していて息詰まる内容なんだろうなとも思います。 が今の時代に生きる作品かというと必ずしもそうは言えない。内容の良し悪しとか時代の遷移とかが問題なのではなく、やっぱり読み継がれる(日本の(※当方は生まれてこの方ずっと日本で生活してますので))小説の最大条件は普遍的なリズムなんではないかと頓に思う今日この頃であります。読み継がれていくという観点に絞れば翻訳ものは有利かもしれない。当然訳すに値する内容であることが前提だけれども、時代時代に合わせて改めて文章に落とし込むことが可能な訳だから。

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2014/03/30

1951年下半期芥川賞受賞作。佐藤春夫や川端康成等、選考委員の多くから高い評価を受けての受賞だった。物語の構造は、19世紀末フランスのユーモア作家アルフォンス・アレエの『腹の皮のよじれるほど』と同じ。今、聞いている物語が、まさにそのものだというもの。すなわち、私たちは読者であると...

1951年下半期芥川賞受賞作。佐藤春夫や川端康成等、選考委員の多くから高い評価を受けての受賞だった。物語の構造は、19世紀末フランスのユーモア作家アルフォンス・アレエの『腹の皮のよじれるほど』と同じ。今、聞いている物語が、まさにそのものだというもの。すなわち、私たちは読者であると同時に、まさにこの小説の生まれる瞬間に立ち会っている目撃者でもある。世界情勢の混沌としていた1950年を描くが、主題上の核となる言葉は、"commit"。おそらくはサルトルの"engagement"を作者流に受け止めた結果だろう。  なお、"commit"が、小説全体のキー・コードになっているのだが、同時にこの作品は、それが書かれた時代、及び時代精神に深く"commit"している。

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2012/10/03

(1971.05.02読了)(1970.03.02購入) *本の紹介より* 朝鮮事変を契機として、再び動揺しはじめた世界情勢のなかで、当時、日本の誠実な知識人は、どのような方向へと動かんとしていたのか――。日本脱出を夢みる木垣が、去就を決する、まさにその土壇場まで来て、初めて日本...

(1971.05.02読了)(1970.03.02購入) *本の紹介より* 朝鮮事変を契機として、再び動揺しはじめた世界情勢のなかで、当時、日本の誠実な知識人は、どのような方向へと動かんとしていたのか――。日本脱出を夢みる木垣が、去就を決する、まさにその土壇場まで来て、初めて日本人としての自覚に到達しながらも、なおたゆたわざるを得ない孤独な姿を、清新なタッチで描きあげて、異常な感動を与えた、昭和二十六年下半期の芥川賞受賞作。 ☆堀田善衛さんの本(既読) 「インドで考えたこと」堀田善衛著、岩波新書、1957.12.19

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2010/12/18

学校の課題として出されたため読んだのですが、正直私の年にはまだ早すぎたと思いました もう理解しなくてはならないのかもしれませんが 全体を通して話は一つなのですけれども、短編の連作のようにバラけていて焦点が上手く定まりません でもそこがかえってリアルで、主人公が、この混乱しきった時...

学校の課題として出されたため読んだのですが、正直私の年にはまだ早すぎたと思いました もう理解しなくてはならないのかもしれませんが 全体を通して話は一つなのですけれども、短編の連作のようにバラけていて焦点が上手く定まりません でもそこがかえってリアルで、主人公が、この混乱しきった時代の日本で生きている、ということを事実へと近づけているようでした この作品は政治色がかなり色濃く、文章の端々から作者の論理的な思考能力の高さ、頭の良さが見受けられます 今のゆとりを出た私たちの世代にはまだ理解できないかもしれませんが、知っておくべきことだと思うので、同世代の方に是非読んでもらいたいです

Posted byブクログ