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閑職から見る会社の痴部と痛快な逆転劇
どことなく『桃色リクルートガール』(著:草凪優)に似た設定のオフィス物語。上司の濡れ衣で閑職に干された33歳の主人公に超絶ドジっ娘な23歳の部下、27歳の事務職、34歳の社長秘書というヒロインの布陣は、最後に意外な存在となる24歳の社長令嬢と併せてクライマックスのために配した感が...
どことなく『桃色リクルートガール』(著:草凪優)に似た設定のオフィス物語。上司の濡れ衣で閑職に干された33歳の主人公に超絶ドジっ娘な23歳の部下、27歳の事務職、34歳の社長秘書というヒロインの布陣は、最後に意外な存在となる24歳の社長令嬢と併せてクライマックスのために配した感がある。社内公報という立場から半ば巻き込まれる形で、事務職の不倫疑惑から会社の痴部を暴くまでを面白く展開しており、ここで、これまで関係した女性陣が一致協力する妙味を見せている。 さらに本作では、最後に社長令嬢との束の間の恋模様を加えている。若干窮屈に押し込めた印象はあるものの、ちょっとズレた世間知らずながら正義感に溢れる生娘が、初々しくも好奇心たっぷりに「初めて」を捧げ、これが思わぬ結果を導いている。最初から登場し、主人公との距離も近く、カラミも多かった部下にすれば、とんだ人物が最後に現れては油揚げをかっ攫っていった恰好にも見えてしまい、ちょっぴり可哀想にも思えてくるが、ある意味無敵な天然キャラでもある令嬢の振る舞いと全体のコミカルなテイストが、これを程良く中和している。軽く嫉妬したり嫌みを言ったりする他の女性陣が却って可愛らしい。また、野心をさほど持っていないことが災い(?)して、不意に訪れた千載一遇のチャンスを逃したかにも見える主人公の行方については、誘惑系官能小説らしいとはいえ、イマドキの草食男子的なトホホ感と捉えられなくもない。 多人数ヒロイン故の分散は否めないものの、多くをオフィス内で行う秘密の淫靡さが滲み出た情交が描かれている。お尻や匂いを愛でる主人公設定による描写も見られるが、恥じらいを見せる20代ヒロイン達と、実際にお尻責めにまで発展する秘書とで違いを出す巧さもある。しかし、「秘核三原則」といった秀逸なオヤジギャグ(褒め言葉)も含め、全体に漂う作者のセンスが光る作風である。 ※『桃色リクルートガール』については、無双舎文庫から『最終面接』との改題再刊本が出ている。
DSK
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