日本橋 の商品レビュー
課題図書だったので読んだが、旧字体のためちゃんと読めている人の3割くらいしかこの本の面白さを理解できなかったと思う。旧字体だからこそ美しいという人もいるが、そもそもそのレベルに自分がいないので現代語訳の方で再チャレンジしたい。
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何も確認せずに買ったら、旧字旧仮名遣いで注釈なしだったよ。頑張って読んだよ。 芯の強い女性たちのお話。解説をちらっと見たら「愛」について語られているらしい。なるほど。
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初めて泉鏡花を読む。 文体になれないので、読むのは大変だったが全体的に綺麗だと思いながら最後まで読めた。 なかなか、こんな綺麗さは味わえないと思う本でした。
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最初入るのが難しいと、三島由紀夫と澁澤龍彦対談で出ていたので、いつもの鏡花だなと思い読み進め、葛木との過去話あたりからは一気に面白くなる、いつもの鏡花でした。 作中ライバル関係にある二人の芸者ーお孝と清葉は、二人とも味があってどちらも素敵。お孝はきっぷの良さが魅力で、「おなじく...
最初入るのが難しいと、三島由紀夫と澁澤龍彦対談で出ていたので、いつもの鏡花だなと思い読み進め、葛木との過去話あたりからは一気に面白くなる、いつもの鏡花でした。 作中ライバル関係にある二人の芸者ーお孝と清葉は、二人とも味があってどちらも素敵。お孝はきっぷの良さが魅力で、「おなじく妻、とかいて頂戴。」や「ほんとうに貴下、そんなんじゃ情婦は出来ない。口説くのは下拙だし、お金子は無さそうだし、口説かれるのも下拙だし、気は利かないし、跋は合わず、機会は知らず、言う事は拙し、意気地は無し、から、だらしは無いけれど、ただ一つ感心なのは惚れる事。お前さん、惚れ方は巧いのね」が素敵すぎる。 一方清葉も、義理を立て、ままならない自分の身の上を吐露するところが良かった....「色でも恋でもない人に、立てる操は操でないのよ。...一人に買われる玩弄品です」くーーーーーすごいなこの達観は... そして一方中心の葛木くん、最初は草食系でぽよぽよだったのにお孝さんに鍛えられて一丁前の男になってた時は笑った笑 姉の面影を追いかけ続け、「姉に、姉の袖で抱かれた気がした」と言った時には、ゾワとした.... そして全体の世界観が素晴らしいのだよね。はあ〜って唸ったのはやはりここ「娘が夕化粧の結綿で駆出して、是非、と云って腰を掛さして、そこは商売物です。直ぐに足袋を穿替えさせるとなって、かねて大切なお山の若旦那だから、打たての水に褄を取ると、お極りの緋縮緬をちらりと挟んで、つくまって坊さんの汚れた足袋を脱がそうとすると、紐なんです。……結んだやつが濡れたと来て、急には解けなかった為に口を添えた、皓歯でその、足袋の紐に口紅の附いたのを見て、晩方の土の紺泥に、真紅の蓮花が咲いたように迷出して、大堕落をしたと言う、いずれ堕落して還俗だろうさ。」
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旧字体の漢字や文章、さらに舞台が日本橋の花街で独特の単語が入り交じり、正直読むのに難儀だったうえ、クライマックスが急すぎて少々鼻白む感が拭いきれなかった。 しかし、登場する芸者の艶やかさが美しく、これは古い文体じゃないと伝わりにくいかもなぁ、と思いながら読んでいた。 個人的にはわ...
旧字体の漢字や文章、さらに舞台が日本橋の花街で独特の単語が入り交じり、正直読むのに難儀だったうえ、クライマックスが急すぎて少々鼻白む感が拭いきれなかった。 しかし、登場する芸者の艶やかさが美しく、これは古い文体じゃないと伝わりにくいかもなぁ、と思いながら読んでいた。 個人的にはわかりにくさと急すぎる終わり方が理解できないものの、作者の代表作として高い評価を受けている作品とのこと。
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20年ぶりに鏡花マイブーム到来。おもしろかったです!興奮!あまりに典雅な文体ゆえ当初は5W1Hがわからずきょとんとしてしまいましたが、目が慣れてきて一気読み。清葉姐さんが好きですが、お孝さんも切ないです。途中、ツンデレ美女(お孝)が特に取り柄のないフツメン(葛木)に迫るというラノ...
20年ぶりに鏡花マイブーム到来。おもしろかったです!興奮!あまりに典雅な文体ゆえ当初は5W1Hがわからずきょとんとしてしまいましたが、目が慣れてきて一気読み。清葉姐さんが好きですが、お孝さんも切ないです。途中、ツンデレ美女(お孝)が特に取り柄のないフツメン(葛木)に迫るというラノベのような展開になりマジか…と思いましたが後半の怒濤のような展開には息を飲みました。これは舞台映えしますね。しかしけっこうグロい描写も多く、この物語は鏡花以外の人が書いたらかなり通俗的になるなあと鏡花の紙一重の筆力に感服しました。
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泉鏡花が1914年に発表した戯曲。"婦系図"と並び新派古典劇の代表作の一つ。1956年に溝口健二監督、1956年に市川崑監督により実写映画化されています。鏡花の作品は文語体で書かれており、最初のとっかかりがつかみにくいです。また、本文庫は旧字体が使われており、...
泉鏡花が1914年に発表した戯曲。"婦系図"と並び新派古典劇の代表作の一つ。1956年に溝口健二監督、1956年に市川崑監督により実写映画化されています。鏡花の作品は文語体で書かれており、最初のとっかかりがつかみにくいです。また、本文庫は旧字体が使われており、余計に敷居が高くなってしまいます。しかし、その苦労の先にある物語の面白さは格別です。多少苦労しても読んでよかったと思えます。本作は、草迷宮などに代表される幻想文学ではなく、花柳界を舞台にした色恋沙汰の話です。登場人物の持つ迫力や妖艶さにしびれます。
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映画を見たら泉鏡花って面白いなあと思って読んでみた。餅は餅屋。職業は尊し。医者、警官、実業家、いろんな人が出てきて面白いのだが、勤労婦人としての芸者の心意気と友情も書いてある本だ。
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行方知れずの姉を想い、形見の京人形を抱く医学士・葛木。その姉を想わせる、旦那のいる人気芸者・清葉。清葉にライバル心を燃やす奔放な芸者・お孝。 誰かが誰かの身代わり――“人形”となって、その関係は歪みやがて悲劇を招く。姉の行方を問い僧形となった葛木が再び舞台・日本橋に訪れたその日、...
行方知れずの姉を想い、形見の京人形を抱く医学士・葛木。その姉を想わせる、旦那のいる人気芸者・清葉。清葉にライバル心を燃やす奔放な芸者・お孝。 誰かが誰かの身代わり――“人形”となって、その関係は歪みやがて悲劇を招く。姉の行方を問い僧形となった葛木が再び舞台・日本橋に訪れたその日、火の海が広がり、血の飛沫が飛ぼうとしていた…… 鏡花おとくいの花街小説で映画化もしましたね。私は映画は未見なのですが(確かDVDとかなかったような……去年シネモンドで三文豪映画の中で上映された気がするけど)これぜひカラー映画で見てみたいなあと思いました。 というのも鏡花は水のイメージが強いという印象ですが、クライマックスは火事のシーンで、さらに五十嵐がお孝を、お孝が五十嵐を殺そうとするという愛執凄まじい展開もあるのですね。そこらへんの鬼気迫るお孝の描写と言ったら、見た目は地獄絵図なんだけどそこに血濡れた美しい女仙(女神というイメージよりもこっちかなー)……に見せかけた女の鬼が現れている、という感じで(あくまでイメージです)こういう気の狂った、情熱がほとばしり過ぎて血も出ちゃってる直情系の鏡花の人物は本当に生々しくて、もっとよく表現するなら生き生きとしてて(不謹慎なような)大好きなんですよ。葛木に寝る誘いをかける時にも、その情熱が溢れる台詞が書かれていて、いたく胸に響きました。引用させていただきました。 予めストーリーを予習しておけば難解な文章でも比較的読みやすいかなあと思ってググったんですが、「これは「身代わり」の話である」という解釈がすごく腑に落ちてしまい、それに沿って読んでしまいました。でも、そう解釈せざるを得ないわホント。誰かが誰かの身代わりや、それに代わる存在になろうとしてる。あるいはなってる。 姉の形見である京人形は姉にそっくり。姉とよく似た清葉に惹かれる葛木。清葉の代わりになろうとするお孝。清葉に代わる存在になろうとして、清葉にふられた男(つまりは五十嵐)をものにするお孝。気の狂った自分の代わりに清葉を愛してほしいというお孝。お孝の着物を着ていた為に危ない目に遭うお孝の妹分・お千世。とまあ挙げると結構キリがない感じ。源氏物語における桐壷→藤壺→紫の上/女三の宮→落ち葉の宮/大君・中君→浮舟の構造を見ているようでとにかく切なくやりきれなかったです。みんな誰かの「代わり」じゃなくて、私達自身を愛してほしいよね。そういう風に愛されたいよね。 解説はまだ読んでいないのですが、ウオッ佐藤春夫だ。読まなきゃちゃんと。 まあ全体的にいつもの花街小説・鏡花って感じでした。わたし、鏡花の花街小説ってすごく好きだなあ。大抵悲恋エンドだったり凄絶な終わりなんだけど、出てくる人達、特に女性がみんな必死で、恋にも生きることにでもなんでも全力、嘘がないように読めるんですよ。芸者っていう立場もあるからかもしれませんが。その姿がすっごく胸に響くの。すごく難しい文体でも。 幻想小説の鏡花もいいけど、生々しい人間達が様々に描かれている花街小説の方ももっともっと注目されればなあと思います。
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