八月の舟 の商品レビュー
樋口有介の著書は琴線に合う(だから「あんた、変わっている」)なかで、この作品は気持ちのよさ、という点では順位が落ちる(人が死んだり怪我したりが多い)が、主人公研一の母が遺した「遺書」の一節が妙に心に残った。「発作が起きてから気を失うまでの間、どれくらいの時間があったのか知りませ...
樋口有介の著書は琴線に合う(だから「あんた、変わっている」)なかで、この作品は気持ちのよさ、という点では順位が落ちる(人が死んだり怪我したりが多い)が、主人公研一の母が遺した「遺書」の一節が妙に心に残った。「発作が起きてから気を失うまでの間、どれくらいの時間があったのか知りませんが、多くて一秒から二秒か、そんな処だろうと思います。そしてそれが本当に一秒か二秒であったとすれば、自分が、自分の人生に於いて一番知りたいと思っていた事の回答を出すのに、人間とはほんの一秒か二秒の時間しか必要としない生き物だということです。自分が生きてきた人生は最善であったのか、自分という人間がこれ以上生きる必要が有るのか。ねえ、研一、そんな事はまったく馬鹿馬鹿しくなるくらい簡単に分ってしまう事なのです。人生に於いて最大の問題が、なんと一秒か二秒です。随分簡単な話だとは思いませんか?」
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まずまずです。 やはり晶子と言う少女が魅力的ですね。蓮っ葉なようで、我儘なようで、でも別の面も持っていて、そうした二面性が魅力のようです。その他の登場人物もそれぞれ一癖あって、その辺りの造形は良いと思います。むしろ主人公が隠れてしまうくらい。 最後の急展開はどう受け取られるか。収...
まずまずです。 やはり晶子と言う少女が魅力的ですね。蓮っ葉なようで、我儘なようで、でも別の面も持っていて、そうした二面性が魅力のようです。その他の登場人物もそれぞれ一癖あって、その辺りの造形は良いと思います。むしろ主人公が隠れてしまうくらい。 最後の急展開はどう受け取られるか。収まったとも見えるし、逆にここに落としちゃうのという感じもするし。でも私は好きでしたね。逆にこれが無かったら、単なるけだるいだけの小説になってしまったように思います
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再々文庫化というのでしょうか?(笑)今回もおもいっきり樋口ワールドにひたりましたよ!解説にあった『樋口節』には笑いました^^;なんだか 『志水辰節』みたいですね クールとは違う、距離感のある、でも、ものすごく葛藤の感じられる・・やっぱり好きです樋口センセ!
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