青年は荒野をめざす 新装版 の商品レビュー
海外へ行くことが特別なことだった時代に、トランペッターとして成功するためにヨーロッパへ渡る青年ジュン。彼の無軌道なだけで夢にあふれた冒険を描いた小説です。この小説は当時大学生のバイブルだった「平凡パンチ」に連載されたもの。ヨーロッパ、パリへ行くのに、船でソ連(現ロシア)のウラジ...
海外へ行くことが特別なことだった時代に、トランペッターとして成功するためにヨーロッパへ渡る青年ジュン。彼の無軌道なだけで夢にあふれた冒険を描いた小説です。この小説は当時大学生のバイブルだった「平凡パンチ」に連載されたもの。ヨーロッパ、パリへ行くのに、船でソ連(現ロシア)のウラジオストックへ渡り、シベリア鉄道でほぼ10日間。当時はこれがいちばん安いルートでした。そのために小説が発表されてからシベリア鉄道でヨーロッパを目指す若者が続出。建築家の安藤忠雄もそんなひとりだったそうです。 当時陸路でヨーロッパを目指した人たちの必携書がこの「青年は荒野をめざす」と、小田実の「何でも見てやろう」だったとか。ストーリーは音楽とセックスと人生と、という時代を感じる青春小説ですが、希望と絶望が交差するような青年の旅行小説と読むと、また違った趣があります。 ちなみにパリはヨーロッパのジャズの都。この小説は「スイングしなけりゃ意味が無」かったバガボンドたちを思いながら、パリで読むのも一興です。
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本が呼ぶのか自分が呼び寄せるのか、そのときにベストな本と出会うことがたまにある。タイトルや表紙に惹かれる本は大概当たりだったりする。この本がまさにそれだった。 斜に構えれば主人公の辿る道筋にいちいち難癖を付けたくもなる。しかし、舞台は60年代なんだからこれでいいのだ。当時に生...
本が呼ぶのか自分が呼び寄せるのか、そのときにベストな本と出会うことがたまにある。タイトルや表紙に惹かれる本は大概当たりだったりする。この本がまさにそれだった。 斜に構えれば主人公の辿る道筋にいちいち難癖を付けたくもなる。しかし、舞台は60年代なんだからこれでいいのだ。当時に生きていなかったから、いくら現在の尺度で判断しようとしても無駄だ。 変などんでん返しもなく、純粋に最後までトントン拍子にストーリーが進んでいって読んでいて気持ちがよかった。 その順調な展開が、時が経てばずいぶん青臭いと苦笑するかも知れない。だけど、青臭さを感じられることを大真面目に言葉にできたこの小説が生まれた時代がうらやましいことに変わりはない。 60年代や70年代辺りに、ジャズ喫茶でコーヒーを片手にこの本に熱中して異国に夢を求めて旅する主人公に憧れていた若者がいたかも知れない。そんな過去の若者たちとの交錯に思いを馳せられるのもまたよかった。
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学生時代に五木寛之にハマッてよく読んだけど 今の年齢で読み直してみると、甘ちゃんだね なんでこんなレベルに夢中になったのかなぁ‥
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ジャズミュージシャンを目指す20歳のジュン。 行きつけのBarで「お前さんには何か欠けているものがある」 「音がキレイすぎて、こっちに共鳴させるものがないわ。鑑賞用演奏なのよ」 と言われ自分はもっと苦労しなければならないとソ連へ旅立つ。 旅はソ連からヨーロッパへ続くが、その先々...
ジャズミュージシャンを目指す20歳のジュン。 行きつけのBarで「お前さんには何か欠けているものがある」 「音がキレイすぎて、こっちに共鳴させるものがないわ。鑑賞用演奏なのよ」 と言われ自分はもっと苦労しなければならないとソ連へ旅立つ。 旅はソ連からヨーロッパへ続くが、その先々でハプニングや強烈な人々との出会いに遭遇することになる。 自分は、ジュンがそれらの出会いを通じ一歩一歩成長していく姿にとても励まされた。 自分もジュンの様にチャレンジ精神を持って、生きていきたいと強く思った作品。 名言が沢山ちりばめられていて大学生活の中で出会った本で一番心に残っている本です。 人生のバイブルにします・笑
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主人公であるジュンは「大学の講義を聴くよりも、数倍良い経験が出来た」と言う。 旅を通して色々な経験をし成長していく。 旅の魅力、そしてなにか煽動力がある。 今まで読んだ旅物語の中でも最高の作品であることは間違いない。 一晩で読みきってしまった。
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「善い事とか、悪い事とか、そんな事はどうだっていい事だ。おれたち人間は、自分の生命をおびやかす行為を悪、その反対を善と名づけただけさ。」 「音楽は、クラシックも、ジャズも、ポピュラーも、みんなひっくるめて、やはり人間だという感じがするのです。道徳的な意味や、教養とは別な、人間...
「善い事とか、悪い事とか、そんな事はどうだっていい事だ。おれたち人間は、自分の生命をおびやかす行為を悪、その反対を善と名づけただけさ。」 「音楽は、クラシックも、ジャズも、ポピュラーも、みんなひっくるめて、やはり人間だという感じがするのです。道徳的な意味や、教養とは別な、人間性。どんな飲んだくれの魂の中にある、あの広い永遠の荒野。どんな無知な人間も持っている、その深い魂の淵。国境や、肌の色をこえて、なにかの共通するものが、そこにあると僕は思うのです。そして、それを音で表現するのが音楽だと考えるようになりました。」 ユダヤの若い娘の肌全身にタトゥーをほどこし、その皮を剥ぎランプを作ったナチスの将校がピアノを弾くシーンで、それをたまたま聴いたユダヤ人は不覚にも感動してしまう。 常識的に考えた世界で行われる、善悪の行為を超えたところに音楽はあって、人を感動させる。 具体的な例を挙げれば、Sex Pistolsのシド・ヴィシャス、THE LIBERTINESのピート・ドハーティ。彼らはドラッグにはまり、破壊的な行為を繰り返していたが、彼らの音楽は魅力的で人気を博している。 槇原敬之もドラッグを使用していたが、「世界に一つだけの花」などの曲を作り出した。 人の感動なんて善悪を超越したところにある。 この小説で大切な部分は次の詩が良く表していると思う。 この杯を受けてくれ どうぞなみなみ注がしておくれ 花に嵐のたとえもあるぞ さよならだけが人生だ
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