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峰の記憶(上) の商品レビュー

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2022/08/19

北海道開発局の技官で29歳の井波広之介は、大雪山を貫く「大雪縦貫道」工事の現場で指揮を執っています。ところが、開発に反対する自然保護団体が押しかけてきて、「イヌ」と罵られた井波は、武谷満という若い男を殴ってしまいます。 上司に説得されて武谷に謝罪することになった井波でしたが、武...

北海道開発局の技官で29歳の井波広之介は、大雪山を貫く「大雪縦貫道」工事の現場で指揮を執っています。ところが、開発に反対する自然保護団体が押しかけてきて、「イヌ」と罵られた井波は、武谷満という若い男を殴ってしまいます。 上司に説得されて武谷に謝罪することになった井波でしたが、武谷の妹の雲子や、反対運動の世話人になっている明石教授の話を聞き、大雪山の自然を守ることの大切さに気づかされ、なるべく自然を破壊することなく工事を進めていきたいと考えるようになります。しかし、工事を推し進める上司の相田技術官や、工事を請け負う荒井組の梅川たちは井波の主張に反対し、理想主義的な彼の考えは多くの軋轢を引き起こすことになります。さらにそんななか、現場を訪れた雲子が、工事に参加していた人夫に暴行されるという事件が起こります。 開発と自然の相克というテーマは、小説の題材としてもおもしろいとは思うのですが、主人公の生真面目な正義感は、相克の諸相を細やかにえがき出すことをかえってさまたげてしまっているような印象を受けました。

Posted byブクログ