英作文のトレーニング の商品レビュー
全部で23題、10~30語で書く問題から100語以内で意見を述べたり絵の描写やグラフの解説をするもの、最後は100語以上で意見を述べるもの、という風に段階に応じて自由英作文の問題タイプや解答の型を学ぶことができる。 この本が出た2004年はまだそんなに自由英作文に特化した対策...
全部で23題、10~30語で書く問題から100語以内で意見を述べたり絵の描写やグラフの解説をするもの、最後は100語以上で意見を述べるもの、という風に段階に応じて自由英作文の問題タイプや解答の型を学ぶことができる。 この本が出た2004年はまだそんなに自由英作文に特化した対策本が少なくて、特におれが大学受験した2003年なんか、高3の時に先生に聞いても(少なくとも2人の先生から)「とにかく和文英訳を徹底的にやれ」、「暗唱例文をひたすら覚えろ」と言われた記憶がある。当然学校で自由英作文の対策なんかやった記憶もなくて(関西の私立だったから、というのもあるかもしれないけど)、Z会の通信教育で自由英作文をやった他は、基本的に自分で、参考書みたいなものは持たずにやっていた記憶がある。 この本が出たのはちょうどおれが大学1年の時だから、未だおれの中では「おれが高校生の時にはなかった新しい本」というイメージが強いが、このブクログでもカバーの写真が取得されなかったり、古い本、という感じ。けど自由英作文の型とか、だいたい何語でこれくらいの内容を書きましょうとか、こういうディスコースマーカーを使いましょう、とか、そういう基本がちゃんと書かれているので、割と良いと思う。強いて言えば、もはや50語未満での自由英作文というのはあんまりなくて、短くても60-80語くらいの問題だと思うので、100語以上の意見を述べる問題が23題中3題しかないというのは物足りないかもしれない。 もう一つは、段階を追っていくので短い語数から始めているのだと思うが、模範解答というか解答例になっている英文のレベルはわりと高く、たぶん帰国子女でもない限り書けないと思う。"Why is there war going on in the Middle East?"(p.213)とか、ふつうに英作文してもこのthereを使える受験生ってそんなにいないのではないか、というレベルで、わりと難しい。少なくともふつうの英作文レベルがクリアされてないと、この段階に至らないような気にさせられる。が、一応「発想のプロセス」、「論理構成」という話があるので、こういうのを一通り読めば、考え方を学ぶという意味では役に立つ。 あと「研究」というコラム的な部分が全部で24あり、ふつうに英作文をする際によく使う表現や考え方についてまとめてあるので、ここを読むのも役に立つ。例えば研究07「『など』の訳し方について」(p.94)で、「日本語の『など』と同じニュアンスを出すには、and so onではなく、includingを使うとよい。この単語は『含む』という意味にもなるが、日本語の婉曲の『など』に近い意味でも使われる」とか、研究16「感情表現+when (because)」(p.142)で、"Animals are afraid when there is the immediate danger of death"など、なかなか学校の先生は教えてくれないことかもしれない。おれも盲点だったのは研究20「増減・大小の表現」(pp.169-72)のところで、「as compared to~を使えば、比較対象の形式をそろえることにそれほど厳密にならずに、日本語に近い感覚で書くことができる」(p.171)として、例えばThe popularion of Tokyo is three times as large as compared to Yokohama.とか、The birth rate in 2002 dropped as compared to 1985.のように表現できる、というのは知らなかった。すぐas that of ~みたいなことを教えるけど、その前にこれを教えないのはなぜなんだろう。あと同じような「数字」をそのまま訳すときは「訳し分けが必要」(p.177)で、「number(単なる数)、figure(統計中の数値)、statistics(統計;統計中の数値(つねに複数形である点に注意))。」(同)という部分も気を付けようと思った。 帰国子女の人とか、わりと学習の進んだ(と言っても考え方自体は基本なので秋以降にやるようなものでは全くないと思うけど)高3の夏くらいまでに一通り読んでおくとよい自由英作文の対策本だと思う。(19/08/11)
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