クレオールとは何か の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
-20090630 歴史に蹂躙され、歴史に忘れられた、地球上の小さな片隅、カリブ海地域で、300年ばかりのあいだに堆積し、だれにも属さない経験に耕され、地と汗と涙の滲みた大地から、やがて多彩な言葉の花が咲き匂う‥
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クレオール文学を代表する二人の作家による、フランス系クレオールの文学史であるが、同時に歴史そのものを問いただす文学の言葉の生成を内在的に描き出す。歴史によって蹂躙されてきた人々の、断絶と沈黙によって隈取られる伝統を語り伝える、それ自体一つの文学とも言える記述。だからこそ原題は「...
クレオール文学を代表する二人の作家による、フランス系クレオールの文学史であるが、同時に歴史そのものを問いただす文学の言葉の生成を内在的に描き出す。歴史によって蹂躙されてきた人々の、断絶と沈黙によって隈取られる伝統を語り伝える、それ自体一つの文学とも言える記述。だからこそ原題は「クレオール文学」なのだろう。セゼールをこの抑圧された者たちの伝統に組み入れながら、その文学を批判的に考察した一節や、グリッサンが代表するリゾーム的な関係としての世界=文学の生成を論じた一節はとくに重要。西谷修の解説とともに繰り返し参照されるべき一冊。
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