刺青とヌードの美術史 の商品レビュー
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松本喜三郎や鼠屋伝吉などの生人形に興味を引かれました。 明治の洋画の黎明期の裸体像とその社会的な影響などがざっと分かり、刺青や春画、ポルノグラフィなどの変遷もよくわかりました。
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日本人と西洋人の裸体観が分かる面白い一冊。江戸時代はそもそも男女ともに裸体をさらすことに抵抗がなかったようだ。私の小さい頃、友達のお母さんは公衆の面前でおっぱいをあげていた。未だ混浴温泉が各地に残っていることも、日本人が裸体に対してさほど抵抗感がなかったことの名残だろう。このように裸体が禁止されていないため、裸はエロスの対象ではなかった。 また、開放的な日本の家屋は、のぞきが横行しており、それはエロスというよりむしろ笑いの対象だったという。「のび太さんのエッチー!」とお風呂を覗かれたしずかちゃんの声に、テレビの前の子どもがキャッキャ喜ぶのも、こういったことが根底にあるのだと思った。 では、日本人は何にエロスを感じるのかというと、女性を識別する役割を果たす「衣服」にそれを求めていたと筆者は言う。セーラー服が高値で取引されたり、コスプレに萌えている男子を見ると、大変納得。 また、日本人は形態より面の美が求められるという。ボン・キュ・ボンの体型はいかにも女性らしく感じるが、幼児体型の日本人においては、肌のきめ細かさ、色の白さなどが美しさのポイントなのだという。 こういったことを総合すると、AKBは日本男子たちに最高のエロスを提供しているのだろうと思った。「どんだけロリコンなの、あんたたち?」と思っていたが、この本のおかげで今後見方が変わりそうだ。色々考察が深まるおすすめの一冊。
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[ 内容 ] 今日、雑誌や野外彫刻で目にする七頭身美人のヌードとは、全く異なる美の基準に立つ裸体表現が江戸時代に存在した。 美人画や刺青画では肌の白さやきめ細かさが重視され、他方、生人形では日常の姿を写し取る究極の迫真性が追求され、生身の人間性を感じさせる淫靡な裸体芸術が花開いた。 明治期、人格を除去し肉体を誇示した西洋ヌードを移入すると、伝統の解体や再接続を経て、新たな裸体美が模索される。 従来の研究から抜け落ちた美術作品を多数俎上に載せ、日本美術史の書き換えを試みる画期的な論考。 [ 目次 ] 序章 ヌード大国・日本を問い直す 第1章 ヌードと裸体―二つの異なる美の基準 第2章 幕末に花開く裸体芸術 第3章 裸体芸術の辿った困難な道 第4章 裸体への視線―自然な裸体から性的身体へ 第5章 美術としての刺青 終章 裸体のゆくえ [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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