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ジブリの森へ の商品レビュー

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2022/05/24

"映像作品の分析を試みようとするとき、参照すべき方途がほとんど塞がれていることに気づく。映像作品を論じたものはごくわずか。あっても個人が趣味で行ったものか、論拠や論証が示されない印象批評に近いものが多く、そこに手がかりや方法を見出すことは困難だ。それならば、文学研究で培...

"映像作品の分析を試みようとするとき、参照すべき方途がほとんど塞がれていることに気づく。映像作品を論じたものはごくわずか。あっても個人が趣味で行ったものか、論拠や論証が示されない印象批評に近いものが多く、そこに手がかりや方法を見出すことは困難だ。それならば、文学研究で培われた着実な手法にもとづく映像作品の批評はできないだろうか(「本書のねらい」より)” ”アカデミズムの意匠に凝った内輪向きの文章で開き直ることも、あるいは大衆の代弁者であるなどというポピュリストを装うことも避けたつもりだ。自らの手法の可能性と限界の中で、別の新たな視角を提出し、批判的視線を投げ続けかけている。(「増補版刊行にあたって」より)”  「国民的アニメ」と言っても全く過言ではないジブリ作品。本書は、スタジオジブリの手による映像作品の数々を、文学的な視点から分析することを試みたものである。 本書も含め、アニメ批評でおそらく最もよく扱われているのがジブリアニメだろう。そのアニメとしての人気の高さは勿論大きいだろうが、(観ている側からすると)思わせぶりな要素が散りばめられており如何にも分析し甲斐がありそうなところにも要因の一つがあると思う。いずれにせよ、ジブリ作品が様々な「読み」を許容し、しかもその「読み」の重さに負けていないのは、映像中で必ずしも露わに表現されない部分もよく練って作り込まれていることを想像させられる。  本書でとられている分析の方法は、映像手法の解説ではなく、物語の構造解析である。僕も鑑賞したことのある作品から、文学の専門家たちが、僕の中にはなかった新たな視点を次々と見せてくれるのにはハッとさせられた。本書の出版(2008年)以降にも、ジブリ作品は何作か発表されている。本書の続きを目論んで、批評的な「読み」を試みるのも楽しそうだ。 序章 挑むアニメーション 米村みゆき 第1章 〈城〉からの眺め 日比嘉高 第2章 韓国から見る『千と千尋の神隠し』 金栄心 第3章 『紅の豚』と〈非戦〉 奥田浩司 第4章 ”国民的映画”の成立 團野光晴 第5章 境界者たちの行方 一柳廣孝 第6章 液状化する身体 中村三春 第7章 『となりのトトロ』は、ちょっとだけ怖い 跡上史郎 第8章 アニメーションの〈免疫〉 米村みゆき 資料 高畑勲・宮崎駿関連年表 ブックガイド 〈知〉の森を進むための文献・資料案内

Posted byブクログ

2013/07/07

これまで台詞がすべて言えるほど繰り返し見てきたアニメ達だが、 映像や音声をそのまま受け止めるだけではなく…メディアリテラシー、つまり どのような文脈や意図から編集されているかを読み解くことにより、社会や文化 の根元に迫る意味を探る本。 これを読んでからもう一度アニメをじっくり...

これまで台詞がすべて言えるほど繰り返し見てきたアニメ達だが、 映像や音声をそのまま受け止めるだけではなく…メディアリテラシー、つまり どのような文脈や意図から編集されているかを読み解くことにより、社会や文化 の根元に迫る意味を探る本。 これを読んでからもう一度アニメをじっくり見たいと思います。

Posted byブクログ