私のヨーロッパ の商品レビュー
『戦争と平和』を読んでいて感じたことの一つは、ナポレオンとロシアが戦争をするのだが、戦場が最初はロシア帝国の領地でなくオーストリアだったり、プロシアだったりあの辺の地図がごちゃっとしてしまい、すぐには頭に入ってこなかったということ。 それにロシアなのになんでフランス語も話すの...
『戦争と平和』を読んでいて感じたことの一つは、ナポレオンとロシアが戦争をするのだが、戦場が最初はロシア帝国の領地でなくオーストリアだったり、プロシアだったりあの辺の地図がごちゃっとしてしまい、すぐには頭に入ってこなかったということ。 それにロシアなのになんでフランス語も話すのだ?(もちろん上流階級だけだが) つまり日本という海に囲まれた島国頭なのだ。 ああ、薄っすらしか解からない悲しさよ。 ということでヨーロッパという土地柄に 興味を持ち、手持ちの『私のヨーロッパ』を再読すれば、再読はするもんだね、まえには頭に入らなかった部分が、理解の助けになった。 ヨーロッパの本質と歴史がやさしい文章で表されている。1972年の著書だから古いが、日常生活とヨーロッパ各地を旅してとらえた本質と特質は変わらないと思う。 わたしなどのように観光旅行しかしない者には、人の目を通して知るほかないのだ。 著者はヨーロッパを 「一反の着尺」…きものの模様にたとえている。 裾から濃紫のぼかし、光琳風の縫い取りが腰にかけて薄くなり、肩のあたりで薄紫が消えて白になる。袖には縫いだけ。 その着物をばらばらに断ち切った布で、何物を作って眺めても、本当のものは見えない。 「そういうルーズな国家群や領土の事情を、らくにゆるすだけの共同要素」で「成り立ったのがヨーロッパというものであった。」 という本質特質。ルーズであったからこそ逆説的に、近隣地方の真似をすることなく、自分自身の個性を頑強に守ろうとする傾向がある文化。 ところが先輩明治時代の人たちは、フランスの文化、ドイツの文化とばらばらに取り入れ、もたらしてくれた。だからわたしたちは「欧米文化」などと、ひとからげにしてしまいがちだ。 ほんとうのヨーロッパ文化とはぼかしもようの一着の着物みたいで、 「市民共同体の生活ルールを、強制されずに守る意志と行動である」 と著者はまとめているが、 だとしたら、いまのわたしのアイデンティティだ。なあんだ(笑) でも、日本がなってるのかな?
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(1974.03.06読了)(1974.02.02購入) 内容紹介 ヨーロッパとはいったい,私たち日本人にとって何であったのか,今日の私たちにとって何であるのか,明日の私たちにとって果たして何でありうるのか.ヨーロッパの自然を愛し,人を愛し,そして歴史を愛した著者が25年過ごした...
(1974.03.06読了)(1974.02.02購入) 内容紹介 ヨーロッパとはいったい,私たち日本人にとって何であったのか,今日の私たちにとって何であるのか,明日の私たちにとって果たして何でありうるのか.ヨーロッパの自然を愛し,人を愛し,そして歴史を愛した著者が25年過ごしたスイス国ユラの小村から送り続けた通信
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ある時はスイスのユラ山脈の農家の一夜の情景、ある時はフランスのナニーと子供の描写、またある時は学生たちに混じってのシャルトルへの巡礼の旅の様子をちりばめながら、ヨーロッパを様々な角度からスケッチすることによって本質が垣間見えてくる。 ヨーロッパに旅行した経験がある人なら、週末にあ...
ある時はスイスのユラ山脈の農家の一夜の情景、ある時はフランスのナニーと子供の描写、またある時は学生たちに混じってのシャルトルへの巡礼の旅の様子をちりばめながら、ヨーロッパを様々な角度からスケッチすることによって本質が垣間見えてくる。 ヨーロッパに旅行した経験がある人なら、週末にあちらこちらの店がクローズされていて閉口した覚えがあるだろう。ヨーロッパの人々にとっては、週末は「自分をもてなす。」時間であり、受身がちの人間にはこの上なく苦痛な日となる。 本書は、旅の途中や日常で著者の目と心がとらえたヨーロッパの特質と本質に深くせまった考察。昭和47年発行の本だというのに、何度も読み返してしまう。私の中では、固く焼き締めた芳醇なフルーツケーキのように味わい深い一冊。ヨーロッパを旅する前に、ガイドブックだけでなく、こういう本に触れておくのもいいかもしれない。
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