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北朝鮮 裏切られた楽土 の商品レビュー

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2021/03/27

総連の一員として「帰国事業」に関わった著者が、この事業の「裏話」や、帰国した同胞について聞いた話などを記した手記。1998年出版。 熱心な北朝鮮信奉者であった著者が、次第に帰国事業は北朝鮮の「人質」獲得のための事業なのではないかと疑問を抱く過程が読み取れる。 総連が帰国事業を純...

総連の一員として「帰国事業」に関わった著者が、この事業の「裏話」や、帰国した同胞について聞いた話などを記した手記。1998年出版。 熱心な北朝鮮信奉者であった著者が、次第に帰国事業は北朝鮮の「人質」獲得のための事業なのではないかと疑問を抱く過程が読み取れる。 総連が帰国事業を純粋に「人道問題」として考えていたのではなく、金持ちの親を持つ子供を北朝鮮に送ることを「成果」と考えていたこと(日本に残る親から多額のお金を引き出すことができるため)や、できるだけ多くの同胞を北朝鮮に送るためにほぼ騙すようにして帰国させたり、抵抗する者を皆で抱えて船に乗り込ませたりするような、とんでもない「手口」が明かされている。 祖国に夢を抱いて帰国した人、騙されて帰国した人、彼らはその後どうなったのか。著者はその多くが「行方不明」になった、としている。この行方不明者をある総連幹部が北朝鮮当局に問いただしたところ、「かつて(1967年頃以降)は手当たりしだいに『人狩り』をやったが、今(1980年代)は慎重にやっている」との答えを得たという。 この時期に、実際、何の罪があるのかもわからずにいきなり強制収容所に送られた帰国者の孫として、姜哲煥氏(『北朝鮮脱出』などの著書がある)に対して行ったインタビューも収録されている。 同書は、20年以上前に書かれたもので、現在読むと誤りだった情報や、古く、また総連内部の資料であるために客観的に確認できない情報もいくらか含まれている。しかし、帰国事業に実際に関わった元・総連の人による暴露本として、極めて興味深い。

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2009/10/04

北朝鮮への帰国事業を日本側で手がけた筆者が記述した 内部告発書。 色んな意味で衝撃的ですが、在日朝鮮人に対する その時の時代背景の厳しさと差別感にも触れる事のできる 一冊。読了後色々と考えさせられます。

Posted byブクログ

2009/10/04

拉致という犯罪に荷担してしまった苦しみの前書。そしてこれは、朝鮮総連の中の幹部であった人が、多くの同胞を「北こそ永遠の楽土だ」と謳い多くの仲間の北に返してしまった自分の罪の告白。日本にいて差別を受けるよりは、よほどいいと思った著者の気持ちは決して曲がったものではない。だが結果はど...

拉致という犯罪に荷担してしまった苦しみの前書。そしてこれは、朝鮮総連の中の幹部であった人が、多くの同胞を「北こそ永遠の楽土だ」と謳い多くの仲間の北に返してしまった自分の罪の告白。日本にいて差別を受けるよりは、よほどいいと思った著者の気持ちは決して曲がったものではない。だが結果はどうか。日本から帰国した殆どの人がもっと悲惨な生活の中で命を落としたのだ。これも哀しいレポートだ。日本社会における朝鮮総連の歴史を振り返るためにも意味のある一冊。

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