近代日本文学案内 の商品レビュー

十川信介【著】

2013/03/30

近代文学、それは文明開化のかおり。

「立身出世」は日本近代文学のキーワード。そうやって、高校時代に現代文の先生に教わった。近代文学は、立身出世しようとする人たちと、その流れからこぼれ落ちた人たちの物語。そして、文明開化したことによって、消されようとした「科学」以外のモノと、お化けのように襲いかかる「科学」の物語。

人力車、馬車、汽車、電車、軍艦、洋行（船旅）、自動車、飛行機という移動手段と文学の話がおもしろかった。

2012/07/08

戦後の本も若干冊触れられているが、基本的には明治期から戦前・戦中までが対象。柄谷行人とは違った切り口での分析で、これはこれで面白かった。ただ、取り上げた本の粗筋や引用が独り合点というか、読者が当然読んだものとして評論している部分があって、何が言いたいのか理解できない箇所がかなりある。一般読者を対象とするなら分かりやすい記述にすべきであろう。