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コンセンサス・ビルディング入門 の商品レビュー

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2013/02/08

「コンセンサス・ビルディング」手法についての入門書です。 ある町の記念事業(祭り)を行うにあたって、どのように合意形成を進め、事業を行って行けば良いのかという架空の例を用いて、コンセンサス・ビルディングとは何か、実際にどうコンセンサス・ビルディングを進めれば良いのかなどといった...

「コンセンサス・ビルディング」手法についての入門書です。 ある町の記念事業(祭り)を行うにあたって、どのように合意形成を進め、事業を行って行けば良いのかという架空の例を用いて、コンセンサス・ビルディングとは何か、実際にどうコンセンサス・ビルディングを進めれば良いのかなどといった点について詳しく説明してあります。 この手法を詳しく学ぶことができる点よりは、「合意」とは何なのか、多数決による決定は本当に合意と言えるのか、といった点について言及しているところが大きな特徴ではないかと思います。 筆者は、一見共存が不可能であるように思われる議題であっても、コンセンサス・ビルディングによって、ほぼ全ての利害関係者が満足できる合意案を作り出すことが可能だとしています。この手法を用いてパッケージ案を作り出すことによって、多数決による決定では導きだすことのできない解決策を導きだすことができるとしています。 例えば、妊娠中絶の是非について政策を考える際に、多数決によって是非を決めるのでは、多くの利害関係者が納得しません。しかし、「妊娠中絶を必要とする人間を減らす、想定外の妊娠や捨て子を減らすという取組み」として政策形成を行えば、賛成派であろうが反対派であろうが納得できる政策を模索することができる、という事例を挙げています。 上記の事例からもわかるとおり、厳格なルール(ロバートの議事規則など)のみに基づく政策形成を行っていては創造的な政策を作ることができず、厳格なものと柔軟なものを組み合わせて使うことによって創造的な政策(多くの利害関係者の同意を得ることのできる政策)が作られます。その一方法としてコンセンサス・ビルディング手法があるとしています。 最終的な決定方法として、多数決や投票という方法は取られがちだと思います。多数決や投票による決定は、いかにも民主主義的な方法だと思い込んでいる人は多いでしょうし、実際私もそうでしたからね。ただ、冷静に物事を考えてみると、(少なくとも公共政策の形成においては)多数決による決定が必ずしも一番適当な方法でないのは明らかです。 政策決定方法の一つの理想として、コンセンサス・ビルディング手法があるのではないでしょうか。 ただ、実際に本書のとおりに合意形成を進めるのは、人的・資金的に大変なのではないかと思います。その点だけが気になりました。

Posted byブクログ