盗作(上) の商品レビュー
(上巻) 田舎町に暮らす平凡な女子高生の彩子は、 ある晩不思議な夢を見る。 何かに突き動かされるように夢の光景をキャンバスに描きあげた彼女。 見る者すべてを魅了してしまうその絵は、 やがて日本中に知れ渡る。 しかし、全く同じ作品がすでに存在していたことが明らかになり、...
(上巻) 田舎町に暮らす平凡な女子高生の彩子は、 ある晩不思議な夢を見る。 何かに突き動かされるように夢の光景をキャンバスに描きあげた彼女。 見る者すべてを魅了してしまうその絵は、 やがて日本中に知れ渡る。 しかし、全く同じ作品がすでに存在していたことが明らかになり、 彼女は盗作というバッシングの非難に遭う――――。 (下巻) 自分が描いた絵の盗作問題で心に深い傷を負った彩子は、 高校を卒業すると故郷を離れ東京で働き始める。 平凡に暮らしたいと願って生きる彼女に、 またあの夢が訪れた。 深い陶酔感に心が溶けるような夢の中に現れたのは、 今度は絵ではなく一曲の旋律だった――――。 2冊合わせても612ページなんだから、 別に分冊しなくても良かったのにと思ったけど、 そこは商売上の事あるんでしょうね。 平凡な女子高生が、特に絵の才能も無いのに、 有名なコンクールでいきなり特選を撮ってしまうという、 およそ考えられない物語である。 絵心もない素人が、絵筆の使い方も色の使い方も分からないのに、 いきなり傑作が描けるわけがない、と思ってしまったが、 それはそれ、あくまでもフィクションの小説ですからね。 おおきなイメージの世界がすべての人とつがっていて、 受け手の器によってその芸術のイメージを受け取るため、 ごくまれに同じイメージを持つ人がいるというのは、 何となく分かるような気もする。 私自身、音楽をやっていた頃は自分で曲を作っていたし、 それは何かを受け取るみたいに自然にメロディーが出てきた。 そのインスピレーションはイメージの世界からの電波を受信したからのかも知れない。 同じようなイメージを受け取ってしまう人も世界のどこかに居るかも知れない。 そんなことを考えてしまった。
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田舎町に暮らす平凡な女子高生の彩子は、ある晩不思議な夢を見る。何かに突き動かされるように夢の光景をキャンバスに描き上げた彼女。見る者すべてを魅了してしまうその絵は、やがて日本中に知れわたる。しかし、まったく同じ作品がすでに存在していたことが明らかになり…。創作の根源を問う衝撃作。...
田舎町に暮らす平凡な女子高生の彩子は、ある晩不思議な夢を見る。何かに突き動かされるように夢の光景をキャンバスに描き上げた彼女。見る者すべてを魅了してしまうその絵は、やがて日本中に知れわたる。しかし、まったく同じ作品がすでに存在していたことが明らかになり…。創作の根源を問う衝撃作。 登場人物一人一人の描写が丁寧。主人公だけがいい人でないことが良かった。あり得ない話なんだけど、有るかもと思わせるような…
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「アナン、」文庫版を読んだ勢いで図書館に予約したが発売直後で15人以上予約があり、1ヶ月以上まった。下巻はいつ来るやら。 「アナン、」に続く芸術の創作に関わる物語。 絵画や歌とかの美しさを文章で表現するという難しいことを上手にこなしている。 昔の飯田譲二のホラーな感じな作風...
「アナン、」文庫版を読んだ勢いで図書館に予約したが発売直後で15人以上予約があり、1ヶ月以上まった。下巻はいつ来るやら。 「アナン、」に続く芸術の創作に関わる物語。 絵画や歌とかの美しさを文章で表現するという難しいことを上手にこなしている。 昔の飯田譲二のホラーな感じな作風よりも 今のファンタジーな方が面白いと思う。 早く続きが来ないかな。
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目立たない、普通の女子高生がある夜に啓示を受けて精魂使い果たして描いた絵は誰もを虜にする素晴らしいものだった。偶々美術評論家がその絵を目にする事となり、賞に応募して受賞する。 それはあるモザイク作家の作品そのものだった。もちろん本人はその作家を知らない。 主人公とその周囲の人々...
目立たない、普通の女子高生がある夜に啓示を受けて精魂使い果たして描いた絵は誰もを虜にする素晴らしいものだった。偶々美術評論家がその絵を目にする事となり、賞に応募して受賞する。 それはあるモザイク作家の作品そのものだった。もちろん本人はその作家を知らない。 主人公とその周囲の人々がよく描かれている。特に主人公の弟、カヅキは良い。
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常に盗作疑惑の渦中に置かれてしまう主人公をめぐる数奇な物語。奇想天外なストーリーの中にドラマや映画などでは表現できないような深い思索が織り交ぜられていて、最後まで飽きずに一気に読むことができる。終盤、主人公が自分の半生を振り返った感想を聴衆に語りかけるシーンは感動的。 モーツァル...
常に盗作疑惑の渦中に置かれてしまう主人公をめぐる数奇な物語。奇想天外なストーリーの中にドラマや映画などでは表現できないような深い思索が織り交ぜられていて、最後まで飽きずに一気に読むことができる。終盤、主人公が自分の半生を振り返った感想を聴衆に語りかけるシーンは感動的。 モーツァルトは、自分はただ天から降ってきた音楽を音符にしているだけだと言っていたということを聞いたことがあるが、真の芸術というのは、まさにそのように真理の断片を「表現する」ことを言うのかもしれない。
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完璧な創作だった筈が 結果的に盗作だったりする。 こっそりと絵を描く人間のはしくれとして かなり怖いお話デス。 謎解きは下巻持ちこしかぁ。 今日の帰り図書館で借りて帰ろう。
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鮮烈な夢とともに 頭にやってきたものが ふたを開けてみれば、全部盗作、 そんなのって嫌だなあ。
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上・下巻。 感想は同じものを掲載。 なんでわたしなんかにあの絵が描けたのだろう? でも、あの時は本物だった。 わたしだけにあの創作の嵐はやってきた。 まぎれもなくわたしの手が動き、細胞の全部が反応したのだ。 一枚の絵に向かって。 自他ともに認める“平凡”な少女、彩子はある日、...
上・下巻。 感想は同じものを掲載。 なんでわたしなんかにあの絵が描けたのだろう? でも、あの時は本物だった。 わたしだけにあの創作の嵐はやってきた。 まぎれもなくわたしの手が動き、細胞の全部が反応したのだ。 一枚の絵に向かって。 自他ともに認める“平凡”な少女、彩子はある日、不思議な夢を見、起きてすぐに衝動に駆られて一枚の絵を描き上げてしまう。 見る人見る人がとんでもない感動を覚えてしまう絵を。 本人はただその絵が大切なだけだったけれど、周囲のひとが放ってはおかず、どんどん大事になる。 でも、実はその絵は過去に世に出た作品であった…あまりにもそっくりな作品であったため、疑惑ではなく、ほぼ確定という“盗作”の烙印を押されてしまう彩子の絵。 ただ、頭に浮かんだものを描いただけであったのに-。 一気に寄ってきていた人々は同じくらい急激に離れていく…勿論、離れずに彼女を支える人々の姿もそこにはあった。 幼なじみの友太郎、少年らしい少年、いいヤツ。 彩子を見守る読者としては根拠はなくとも彩子を信じる彼の姿に、救われた。 しかし、一転して、どん底に落ちてしまった彩子は誰も自分と絵のことを知るひとがいない都会へと移るが、そこでもまた“あの夢”がやってきて…。 アイディアが浮かぶ瞬間って、こういう感じなのだろうか。 創作に縁がない私にはイメージすることしかできないけれど。 “創造”とは、“芸術”とは何であるのか-? すごく、不思議な感覚を味わえる小説。 そして、上記のことを含んだ上で、喜怒哀楽ある物語。 上下巻通して紡がれる彩子の一生を、見届けてほしい。
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関東の海に面した田舎町に暮らす女子高生・彩子は、存在が目立たず地味で無口な平凡な女の子。 幼馴染のミチは、田舎のビーナスと呼ばれる程の美少女で、彩子はミチの友達として知られていた。 彩子は、雨の匂いを嗅ぐと眠くなる。 その日も雨で学校でも頭が回らずに、美術の時間ではキャンパ...
関東の海に面した田舎町に暮らす女子高生・彩子は、存在が目立たず地味で無口な平凡な女の子。 幼馴染のミチは、田舎のビーナスと呼ばれる程の美少女で、彩子はミチの友達として知られていた。 彩子は、雨の匂いを嗅ぐと眠くなる。 その日も雨で学校でも頭が回らずに、美術の時間ではキャンパスを白紙のまま過ごしてしまった。 先生に宿題だと言われ、白紙のキャンパスを持ち帰ったが、雨の匂いが眠気を誘い再び眠り始める。 そして、彩子は不思議な夢を見る。 その夢で出てきた物を書かなければいけない衝動に駆られた。 何かに突き動かされ、寝ることも食べることもせずに一心不乱に一日でキャンパスを埋め尽くす。 完成した絵は、見るものを一瞬にして虜にする傑作だった。 その絵は、やがて日本中に知れ渡るようになったが、まったく同じ作品がすでに存在していた事が明らかになり・・・・。 数年後・・・。 彩子は、東京に出てきてOLとして地味に過ごしていた。 そしてある雨の日に、また不思議な夢を見る。 今度は、カセットテープを持ち出し、夢で出てきた音楽を録音した・・・・。 突然何かに突き動かされるように、傑作を産み出す彩子を描いた創作の根源を問う作品です。 ジャンルは、ん〜なんだろう? ん〜SFかな? 奇才・飯田譲治は、本当に不思議な物語を書きます。 これお勧めしていいのかな? ん〜個人的には面白いのだけど・・・。
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とても、とても、深い内容でした。 ある意味『アナン、』の時に感じた、『長い旅が終わった』感が、本を読んだ余韻として残していきました。 正直、本のタイトルからして、『何だ?!』と思いましたね。 この二人の書いた本を漁りまくって、読み齧っていますが・・・こんな衝撃的なタイトルを見た...
とても、とても、深い内容でした。 ある意味『アナン、』の時に感じた、『長い旅が終わった』感が、本を読んだ余韻として残していきました。 正直、本のタイトルからして、『何だ?!』と思いましたね。 この二人の書いた本を漁りまくって、読み齧っていますが・・・こんな衝撃的なタイトルを見た時は、本当に驚きました。 でも、中を読んで、再び衝撃。 主人公・越ヶ谷 彩子が、いきなり一つの名画とも呼ぶべき作品を書き、大賞まで取るに至った。 が、それはアナンの未公開作品の『盗作』疑惑が浮上するという展開から始まります。 はっきり言える事は、越ヶ谷 彩子は意図して作品を作り上げた訳では無い所。 神の啓示と言うか、ふっと沸いて出たイメージが、その作品を作り上げてしまった事。 越ヶ谷 彩子は、その未作品をネットで見るまで知らなかった。 一気に足元から、何かが崩れ去ってしまう現実。 中傷、誹謗、非難 自分一人ならまだしも、家族や仲間でさえもその対象となってしまう。 それが、どんなに辛い事だろうと・・・考えただけで、『苦しく重い』と思いました。 崩壊、分解、別れ もし、気分屋。自身何かで、『盗作』疑惑を持たれて、何かを失う事が合ったら・・・と考え出す始末。 この有らぬ疑いを持たれてしまった越ヶ谷 彩子の運命は、なんて残酷なモノを背負わされたんだと思っては、涙が止め処なく溢れました。
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