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カーブボール の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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2021/01/21

本書は、アメリカが偽の情報を元にイラク戦争を始めてしまった経緯を記述した小説である。ひとりのイラク人亡命者の虚言により、ドイツやアメリカの情報機関が錯綜していく様は、不謹慎かもしれないが、とても滑稽に見えた。各情報機関の思惑がすれ違い、誤った判断が更に誤った判断を生み出す、負のス...

本書は、アメリカが偽の情報を元にイラク戦争を始めてしまった経緯を記述した小説である。ひとりのイラク人亡命者の虚言により、ドイツやアメリカの情報機関が錯綜していく様は、不謹慎かもしれないが、とても滑稽に見えた。各情報機関の思惑がすれ違い、誤った判断が更に誤った判断を生み出す、負のスパイラルが描かれている。また、情報機関の仕事ぶりも垣間見ることができる良書。

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2017/08/12

一人の嘘が戦争を引き起こした事例。 情報が錯綜し曖昧な中で、何を信じて何を信じないのか、結果として大きな過ちでしたが難しい判断だったと思います。

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2015/10/19

「イラクに大量破壊兵器がある」。米政府がイラク攻撃を正当化した言葉の源をたどると一人の男に行きつく。「カーブボール(くせ球)」と名付けられた亡命イラク人だ。本書にはCIA米中央情報局とBNDドイツ連邦情報庁が、このカーブボールの証言に翻弄される一部始終が見事に描かれている。これも...

「イラクに大量破壊兵器がある」。米政府がイラク攻撃を正当化した言葉の源をたどると一人の男に行きつく。「カーブボール(くせ球)」と名付けられた亡命イラク人だ。本書にはCIA米中央情報局とBNDドイツ連邦情報庁が、このカーブボールの証言に翻弄される一部始終が見事に描かれている。これも特派員時代に取材しようとしたが、私などは著者ドローギン(LAタイムズ記者)の足元にも及ばない、断片的事実しか知ることは出来なかった。インテリジェンスの検証能力もなきまま、米国に追随する日本政府の立ち位置についても考えさせられる作品。(竹内明)

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2014/06/27

あの戦争がこれほどいい加減な根拠で行われていたとは! 登場人物が多くて少し混乱させられるが、米独両国で〈カーブボール〉の情報が流通し、政治的な争いがあり、都合の悪いことが隠蔽されていったプロセスが具体的に描かれていて興味深い。 訳文は読みやすいが、時々地の文に口語的な言い回しが入...

あの戦争がこれほどいい加減な根拠で行われていたとは! 登場人物が多くて少し混乱させられるが、米独両国で〈カーブボール〉の情報が流通し、政治的な争いがあり、都合の悪いことが隠蔽されていったプロセスが具体的に描かれていて興味深い。 訳文は読みやすいが、時々地の文に口語的な言い回しが入るのが気になった。

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2012/09/23

一人の嘘つきにCIAが踊らされ、米がイラク戦争に突入することを描いたノンフィクション小説。本質的な問題点は、情報が目的を生み出すのではなく、目的が情報を生み出してしまったことにあるが、日本が負けると分かっていた太平洋戦争に踏み出した原因と基本的に同じであり、情報を扱うこと・選別す...

一人の嘘つきにCIAが踊らされ、米がイラク戦争に突入することを描いたノンフィクション小説。本質的な問題点は、情報が目的を生み出すのではなく、目的が情報を生み出してしまったことにあるが、日本が負けると分かっていた太平洋戦争に踏み出した原因と基本的に同じであり、情報を扱うこと・選別することの難しさを教えてくれる。それにしても、ある男の嘘によって戦争が始まり、多くの人が命を失う結果になったこと、その規模感に圧倒されてしまった。

Posted byブクログ