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どくろ杯 の商品レビュー

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2012/03/29
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詩人金子光晴の自伝的旅小説。昭和3年から計7年間上海、東南アジア、ヨーロッパへと放浪する回想録の前編。旅の小説といえど、どんどん風景が変わっていくかと思えば、そうではなく旅をはじめると決めてから、東京、名古屋、京都、長崎、大阪での金の工面、妻三千代との関係の危機もあり逗留がながく、なかなか腰が上がらない。上海にいってからも今で言う沈没の状態に近く、けわしい生活の連続。携帯のないこの時代では別れは永遠の別れだったりする。日本での生活にどんづまった著者が人生の賭けとしてはじめた旅は人間の生なましさをみる旅となった。人間のしぶとさがいっしゅん垣間見え、しかし万事がうまくいくとはかぎらなかったりする、自伝ならではの現実味がただよう本だと思う。

Posted byブクログ