西洋美学のエッセンス の商品レビュー
古代から現代にいたるまでの西洋の主要な美学者たちの思想について解説している本です。とりあげられているのはプラトンをはじめ25人の美学者たちで、最終章は編者の今道友信による現代美学の動向にかんする概説が置かれています。 本書の「あとがき」には、多くの執筆者たちによる概説書の長所と...
古代から現代にいたるまでの西洋の主要な美学者たちの思想について解説している本です。とりあげられているのはプラトンをはじめ25人の美学者たちで、最終章は編者の今道友信による現代美学の動向にかんする概説が置かれています。 本書の「あとがき」には、多くの執筆者たちによる概説書の長所として、「一人の筆になる通史の場合、幾人かの美学者については二次資料に頼らざるをえないのが普通であるが、執筆者が多勢の場合には、一人一人の専門研究者が原典をよみこなしている、という点で、美学史を彩どるどの巨匠についても、一次資料による信頼度の高い研究が集まる、ということがあげられる」と書かれています。 たしかに、それぞれの分野における専門家が各章を執筆しているという点では信頼が置ける内容なのでしょうが、各人に割りあてられているページ数がすくないため、それぞれの執筆者たちの優れた研究にもとづく解釈が十分に展開されていないという印象を受けました。その意味では、上述の長所が存分に発揮されているとはいえず、残念な結果になってしまっているように思います。
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