遠い空 の商品レビュー

富岡多恵子(著者)

2023/04/07

なんとも陰惨な事件や、常識や道徳心の通用しない人物たちを描いた9編からなる短編集。
聾唖者による老女強姦殺人、乳幼児放置死、親殺し、何人もの男と関係を持ち、挙げ句に車夫と駆け落ちする女芸人、金銭にだらしない女など。
人間が本能として持っている性（＝生きるための原動力）を露骨に描いた作品集といったところか。

2018/12/20

暗い作品だ。帯に「東北で起きた殺人事件を題材に新たな文学空間を創る「遠い空」自殺した女の虚実の人生を乾いた文体で綴る「弱肉」若者の残酷な愛の結末を描く「二十歳」など生の深奧を凝視する九萹」書かれている。
作品が書かれた昭和５０年代とはこんなにも暗い時代だったのだろうか。