目には目を の商品レビュー
カトリーヌ・アルレー(Catherine Arley)の推理小説第三作。原題はLe Talion 安堂信也訳。 青年実業家ジャンとその妻アガット、友人で富豪のマルセルと病弱な姉の女医マルトの4人の視点が交互に切り替わる。財産を巡る駆け引き、終盤のアガットとマルトの女同士の対決...
カトリーヌ・アルレー(Catherine Arley)の推理小説第三作。原題はLe Talion 安堂信也訳。 青年実業家ジャンとその妻アガット、友人で富豪のマルセルと病弱な姉の女医マルトの4人の視点が交互に切り替わる。財産を巡る駆け引き、終盤のアガットとマルトの女同士の対決が面白い。
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4月も終わり近くになって気が付いた。今年は月に1冊、小説を読むと 決めたはず。あわわ…今月はまだ読んでいないではないかっ! 慌てて書棚を書き回し手に取ったのが本書である。海外のミステリーや ハードボイルドを読み漁っていた10代後半から20代前半の頃、本書の 著者であるカトリーヌ...
4月も終わり近くになって気が付いた。今年は月に1冊、小説を読むと 決めたはず。あわわ…今月はまだ読んでいないではないかっ! 慌てて書棚を書き回し手に取ったのが本書である。海外のミステリーや ハードボイルドを読み漁っていた10代後半から20代前半の頃、本書の 著者であるカトリーヌ・アルレーやフレドリック・ブラウンの作品が 大好きだった。 日本の2時間枠のサスペンス・ドラマの原作としてよく使われるアルレー なのだが、テレビ・ドラマにしてしまうとかなり安っぽくでがっかりする。 本書の登場人物はたったの4人。破産に瀕した青年実業家とその妻、 皮革業者で冴えない中年男と女医であるその姉。 物語は4人それぞれの独白で構成され、破滅の最終章に収斂されて 行く。 悪女を書かせたら当代随一だと思っているアルレーだが、本書では 女の浅はかさを見事に描いている。 「女とは、同性の美貌や富には羨望や嫉妬を感じても、教養や頭の 良さには、羨望もしなければ嫉妬も感じないものなのだ。」 塩野七生氏が『ローマ人の物語』のなかで書いていたが、アルレー の作品には象徴的な女で溢れている。 悪女ミステリーの女王であるアルレーなのだが、作者自身、経歴が 一切不詳。現在も作家活動を続けているのか、存命なのかさえも 不明。本人が一番ミステリーだったりするんだよね。
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破産寸前の夫、その若く美しい妻、彼女に恋する中年の資産家とオールドミスの姉、この四人の男女の頭の中には、それぞれ思惑がひそみ、それが運命の糸のようにからみあって、破局へと突き進んで行く……。目には目を、歯には歯を、復讐を許すタリオンの掟が……。
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