男の子の躾け方 の商品レビュー

クラウス・シュペネマン(著者)

2015/05/05

教育における専門書ではなく、体験談であり、ドイツ人による、日本教育への所感である。しかも筆者は、日本の家庭を持てず、日本教育の本当の姿はわかっていない。伝聞、あるいは、想像、自己のフィルターを通した偏見なのである。あまりにも日本に対してネガティヴな発言が多い。一部は当てはまるが、偏りに辟易してしまうほど、日本教育を全否定しているが、考察が甘い。

例えば、詰め込み教育は是か否か。勿論自ら考えるという癖をつけるような勉強は必要だが、別に詰め込み教育がそれを奪うわけではない。物事を記憶する作業は、思考という行為の基礎である。思考は、記憶の引用、変形、参照、照合だからだ。問題は、学ぶ目的をじっくり教えていない、あるいは、その教えが低質である事だ。その論点に達しず、ただ表情が暗いから悪。漫画を読む大人はダメ。環境破壊良くない。など、単純図式で事象を論じる上に、否定が混ざるから嫌気が指すのだ。